AWC K&D>「ある4つのお話」         クックロビン


        
#263/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (HRJ     )  87/ 8/18  19:50  ( 74)
K&D>「ある4つのお話」         クックロビン
★内容

【A−1】
  禎夫は、どこにでもいる内気な少年であった。○×公園の中で一人、砂いじりをし
 て遊んでいた。まだ少し湿っていた砂は、禎夫にトンネルを作る気をおこさせた。だ
 れもいない砂場で、思うがままのトンネルを作った。しかし、そのトンネルを崩す中
 学生の足が、禎夫の心を踏みにじった。
【B−1】
  純一が、○×公園のベンチにいると、「ジュンちゃん!」と昔聞きなれた声がした。 「よぉ、変態少女のいくみじゃないか。」「なによぉ、もうそんなこなないわよぉ。」 「じゃ、AIDSの正式名称知ってる?」「…し、知らないわっ。」「免疫不全症候
 群だよ。」「ちがうわ、後天性免疫不全症候群よ、確か。」「…ほうら。そういえば、 保健のテスト、何点だった?」「…98点。いいじゃない、どうだって!」
【C−1】
  「ねぇ、この店も入ってみようよ。」…全く、千穂にはあきれてしまう。家に帰り
 たくないからって私を誘ったのはいいけど、この調子じゃ日が暮れちゃうわ。
  「…そろそろ帰らない?」言った瞬間、千穂の顔が曇った。まずったかな。
  「わかった、わかった。ゆっくり、散歩して帰ろ。」…やっと少し機嫌がよくなっ
 たみたい。「ごめんね、真代。わがままばっかり…。」「いいじゃない。こんな気分
 もたまにはあるわよ。」…そして私たちは○×公園に向かった。
【D−1】
  キャーッ、トオルーッ!
 「…フーッ、やっとまいたぞ。しかし最近のファンってたち悪いよなァ。塩酸なげる
 くらいならまだいいけど、昨日なんて、受けとった小ビンがニトログリセリンだった
 んだぜ。」「本当にファンなのかよ。」「マネージャーもそう思うだろ?…あ、そこ
 の路地入って○×公園に行こうぜ。ながめは最高だし。」「よしっ。」

【A−2】
  いつもは内気で、こんなときは泣かされるのがオチなのに、今日は違っていた。学校 から帰ってきたとき、たまたま虫の居どころの悪かった母に一喝され、外へとび出して きた矢先であった。禎夫は、不意に握りこぶしを振りまわした。
【B−2】
  突然、純一の口調が変った。「…けど、男性を好むほど、変態ではなかったんだよ
 な…。」「な、なによ。」純一の目つきいやらしさを察したいくみは、立ちあがろう
 とした。
【C−2】
  「わー、きれいねー。」…私も同感だった。○×公園って、こんなにきれいな眺め
 だったんだ。夕焼けに赤くそまった空と街が、いちごのゼリーにつつまれたようで、
 何とも言えなかった。
【D−2】
  「…あれ、この道だったかなァ…。」「おいおい、トオル、困るぜ。あまり不用意に 動きまわらない方がいいんだから…。」「あ、この店!オヤジとよく来た雑貨屋じゃな いか。まだあったんだァ…。」「じゃ、ここでいいんだな。」「ああ。」

【A−3】
  禎夫の握りこぶしは、中学生の顔面を直撃した。血がふき出し、その中学生はうめ
 き声をあげて走りまわった。
【B−3】
  純一が、いくみをベンチに押し倒した。「いやあっ!」…いくみが必死で抵抗した。 すでに純一の目の色は変っていた…。
【C−3】
  「のどがかわいたな…。」と、千穂は水飲み場の方が歩み寄っていった。
【D−3】
  「あったあった、ここだ。」「へーっ、本当にきれいだな。」「だろーっ?」

【A−4】
  中学生が今にも倒れそうになった。
【B−4】
  いくみは、純一に平手打ちをかまそうとした。
【C−4】
  千穂が、水飲み場のじゃ口ひねろうとした。
【D−4】
  トオルは、車から降りようと、ドアをあけようとした。

【E−1】
  今、これらの○×公園でおきた出来事がすべて消えようとしていた。核のスイッチは 押されてしまったのだ。
【E−2】
  もう、魔の手がここまで近づいている。
【E−3】
  ほら。
【E−4】
  ………………………






前のメッセージ 次のメッセージ 
「CFM「空中分解」」一覧 メガネの作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE