#249/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (HBJ ) 87/ 8/ 6 18:28 ( 38)
リレ−A>第8回 バイ・カーン A・
★内容
一瞬のことだった。
自転車と人が一つとなる不思議なフェノメン。
一瞬のことだった。
″輪行″この言葉にどんなマジックが仕組まれたものか。
銀色の閃光の後、自動車の側を人が走っていた。銀色の人だ。
銀色の光りを身に纏った人が、健達の乗った自動車と併走してい
る。
堤が、舌打ちをした。メ−タ−は80キロ、90キロ100キ
ロを越えて、今120キロに達しようとしていた。
人間のついてこれる筈のない速度である。
健は眼をつむっていた。額を、しとどに汗が濡らしている。早
くしなければ・・・・汗は、堤の額にもあった。何者かは判らぬ
が、邪魔される訳にはいかない。
アクセルを踏み込む。またすこし、スピ−ドが上がった。
それでもついてくる。どうしても引き離せない。
何者だ−−−−堤は眉を寄せた。
彼−−−杉原明ことバイカ−ンは微かに疑問を感じていた。
彼の敵であるホッパ−の末端組織が破壊活動を行なうとの情
報を聞き付けて情報屋のよこした地図の場所へ向かう途中、自
動車にひきかけられた。見てみれば、ホッパ−の乗用車型装甲
車両だ。追い掛けた。しかし、どこかおかしな感じがする。
考えずとも、すぐ解った。
乗員だ。ホッパ−の戦闘員は、原則として、火器管制用コネ
クタ−の埋め込みが成されている。
コネクタ−を埋め込まれた生体は、独特の臭気を発するよう
になる。
バイカ−ンがホッパ−と一般人を見分ける際には、それを拠
り所とするわけだが、今、装甲車に乗っている3人からは、少
しも感じられない。
男が2人と女が1人。
男の1人は、怪我をしていた。
奪ったのか−−−−それなら納得もつく。
しかし何のために−−−−
その時だった。
教えてあげるよ−−−−−
若い、女の声が、バイカ−ンの中に響いた。
−−−つづく−−−