AWC ☆☆ T’s Pencil  Vol.10 ☆☆☆☆


        
#167/1850 CFM「空中分解」
★タイトル (XFG     )  87/ 4/ 4   1:19  ( 17)
☆☆ T’s Pencil  Vol.10 ☆☆☆☆
★内容
       時 計

 海沿いの小さな小さな街を抜ける3桁国道がある、夕暮れの時間だ。この街
はもうすぐ海に融けて行く夕日を見るだろう。もう随分前から国道を駆け抜け
る車は途絶えたままだ、車が駆け抜けると、間違いなく「時の旅人」のように
見えるだろう。
 その国道沿いに古い時計屋があった。木造の時計屋は、ひっそりと息を潜め
て人の気配さえもしない。入口の上に掛けられた木の看板は雨にさらされ、な
んとか文字が読めると言う状態だ。ショーウインドーには古い掛け時計と、文
字盤のマンガのキャラクターが、見事に色あせた目覚し時計が、針を動かすこ
とも忘れてじっと外を見つめていた。
 時の流れは偉大だね。人は何処まで行っても流されるばかり。時々ふと考え
る、あのショーウインドーの、時を刻むことを忘れた時計達は、今でも時に刻
まれ続けているのだろうか、と。

                               TOMO





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