#3684/3706 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 25/11/11 03:04 ( 25)
起点の終わり 永山
★内容
推理作家の西澤保彦が逝去。六十四歳。肺がんで闘病中だったとか。ご冥福をお祈り
いたします。
作風を言い表すなら……SF的な設定を土台にロジックを駆使した本格ミステリとい
ったところでしょうか。推理一つ一つを簡単には片付けず、こだわり抜くというかこね
くり回すというか。SF設定は多岐に渡っており、タイムリープ物ミステリの走りと言
えそうな『七回死んだ男』とか、瞬間移動できる男が主人公の『瞬間移動死体』、超能
力犯罪の捜査を描く「神麻嗣子」シリーズ他、様々な方向から楽しませてもらいまし
た。
もちろんSF設定に拠らない通常?のミステリも書いていて、氏のデビュー作でもあ
る『解体諸因』をはじめとする「匠千暁」シリーズには、奇妙な謎と論理のこねくり回
しで魅せられたものです。そうそう、前にも書き込みのネタにしましたが、『解体諸
因』の講談社ノベルス初版のあらすじが、「341個に解体された主婦」となってい
て、何じゃそりゃと思って読み始めたら、本文では「34個」でした。誤植のおかげ
で、スケールダウンを感じたものです。
と、諸作を愛読していたかのように綴りましたが、近年はご無沙汰していました。そ
れでも作品の発表・刊行が続いていたのは把握していたので、早過ぎるかつ急な訃報に
驚きを禁じ得ません。完結していないシリーズ作品もあるそうで、もし創作メモなどが
残されているのであれば、本格ミステリ作家のどなたかに締め括っていただきたいな
あ、なんて思ってしまいます。
映像化作品があるのではと検索してみましたが、どうやらない模様。これまた意外で
す。「匠千暁」シリーズは一部コミカライズされているし、映像化にも向いているんじ
ゃないかなと。
ではでは。