AWC ミステリーの目論見    朝霧三郎


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★タイトル (sab     )  22/06/12  08:22  ( 87)
ミステリーの目論見    朝霧三郎
★内容                                         22/06/12 11:07 修正 第3版
「死の欲動」というのがあるんですね。
普通人間は、生きよう生きようと思いそうですが、
実は、死にたいと思う欲動もあるという…。
三島由紀夫「仮面の告白」に、
「セバスチャン殉教図」を見て射精した、という告白があって、
あれなんて完全に格好よく死にたいという願望だと思うのですね。
そしてそれは肛門性愛とつながっている。
「仮面の告白」はゲイ告白の小説ですから。

死にたい、という欲望は結構普通にあるんじゃないでしょうか。
私の世代だと、
刑事もので「太陽にほえろ!」というのがあって、
ショーケンだの松田優作だのの殉職を「恰好いい」と思っていたし、
梶原一騎原作の漫画などでも、
「愛と誠」の岩清水が「早乙女愛、君の為なら死ねる」とか、
力石徹が白木お嬢さまの為に死ぬ、みたいな。
ダンディズム的な死を求める、と。
女子でも、
「ベルばら」とか「ジャンヌダルク」とか、死への憧れはあるのでは。

そしてこれは、肛門性愛につながっているのですね。
何故かは諸説あって今でも不明です。

元々「死への欲動」を言いだしたフロイト博士によれば、
人間は生まれる前の状態に戻りたがる性質があるのだが、
(何故かといえば、母胎の中ではへその緒がつながっているので、
何時でも食糧が供給されるから、とか)
原初の状態は、人間も原子のレベルでは、原子核の周りの電子が回っている、
みたいな規則正しい活動をしているので、
だから、死への欲動と厳密さとは通底している、とか。
あと、肛門性愛に関しては、フロイトの場合、性は、口唇期→肛門期→男根期
ですから、肛門期に退行したのだ、とか。
その様に説明されていますが。

この理屈を使って、
ニューハーフの風俗で、
アナルマッサージ等のサービスをする時に、
「お前は、自分で死にたくなる」という洗脳をして、
そして、その客は実際に自分から死ぬ、
という奇妙な連続殺人が起こる、
というミステリーを書こうと思うのですが。

そうは言っても、もっと分かりやすい見たての様なものがないと。
「仏教高校…」の時には、「胎蔵界曼荼羅」などという
分かりやすいものがあったのですが。
そういう見たてがなかなか思い付かない。

結局、
そのニューハーフ風俗店に、
漫画コーナーがあって、
梶原一騎全集
「ベルばら」
などが並んでいて(どれも、死の欲動的な漫画)、
その漫画に似た死に方をするので、
あの漫画コーナーに連続殺人のヒントがある、
みたいな謎解きにしようと思うのですが。
あの漫画コーナーに漫画を置いた人が犯人だ、みたいな。
そうは思っても、何でわざわざ証拠を残す様な事をするのか、とも思いますがね。


(追記)。
何故、わざわざ証拠を残すのか、についてでれでれと考えてみましたが。
或いはネットで色々調べてみたのですが。
そもそも、何でニューハーフ風俗店の風俗嬢は客を洗脳して犯罪を犯させるのか。
というか、あらるる犯罪において、犯罪を行う事と、それを誰かに言ってしまう事、
というのは何故起こるのかと考えると。
世の中には、普通の生活で満足できる人とそうでない人がいるとか。
社会学者の宮台真司によれば、
>毎日が幸いであれば幸せになれる〈内在系〉と、
>毎日が幸いであるだけでは幸せになれない〈超越系〉
という分類があるらしく、
大人しく普通のおばさんになって、世間の一部にはなれない女というのが
いるんじゃないか。
そういうのが犯罪を犯した挙句、それを告白する。
例えば、ロッキード事件の「ハチの一刺し」榎本三恵子とか、
宇野元首相の指3本を告発した愛人とか、
黙っていない、普通のおばさんになれない、宮台真司の言葉で言えば「超越系」、
精神分析の言葉で言えば偽女
(普通の女は、成熟すると、普通のおばさんになって、
余計な事は喋らないが、
しかし、世間の目というか、世の中の空気となる)
みたいな存在が犯罪を犯し、そして言いふらすのではないか。
で、ちょうど今回はニューハーフが犯人という事なので、
それは、全く普通の女ではなく偽女という事で、
だから、犯罪の証拠である漫画も並べておくし、
そもそも犯罪を犯すのも、普通の女にはなれないから、
みたいな事を考えましたが。





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