#2163/3628 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 22/04/03 20:21 ( 28)
実際のオンエアはかなり昔 永山
★内容
WOWOWで放送の映画「ブラック・クランズマン」(二〇一八年 米国)を録画視
聴。ネタバレ注意です。
一九七二年の米国はコロラド州で実際に起きた出来事を基にした作品だそうで。コロ
ラドスプリングズの警察署で初めて採用された黒人警官ロンが潜入捜査官として活躍す
る様を、ちょっとコミカルに描いています。
が、内容は非常にシリアス。手始めに元ブラックパンサー党員の演説会に身分を隠し
て潜入。それなりの実績を積んで、次は何とKKKの団体に潜入を自ら提案。黒人のロ
ンが白人至上主義集団にどうやって潜入するのかというと、白人刑事と組んで二人一役
をやる。電話での応対はロンがやり、実際にKKKのメンバーと顔を合わせるの白人刑
事が受け持つ。――という粗筋のこの旨を読んで、何でわざわざ二人一役を? 白人刑
事が一人でやればいいんじゃないの?と疑問だったのですが、本作を観ると、ロンが独
断でKKKらしき新聞広告の電話番号に掛けて、思わず本名を名乗っちゃったからなん
ですね、多分。入団希望っぽいことを言っておきながら、会いに行かずにいたらKKK
から怪しまれて、警察が動いていると警戒されかねない。それでしょうがなく、二人一
役作戦を実行に移した感じかしらん。KKKの大物がロンとの通話で、相手が白人か黒
人かしゃべりを聞けば簡単に分かると豪語するのを、ロンとその通話を聞いている同僚
が笑いを堪えるのに必死という構図が面白い。ラストで電話越しにロンが正体を明かす
ところは爆笑もの。
そんな風に笑いを挟みつつ、人種差別の根深さがしっかり描かれていて、重たい話に
なっている。何よりため息をつくのは、五十年ほど経った現在でも米国の状況は変わっ
ていないことを湿す映像が、最後にまとめて流れるところ。電話でこけにされたKKK
の大物も実在の人物で、この最後の映像に出て来て、人種差別絡みの事件や暴動が頻発
する中、トランプ大統領(当時)を讃え、混沌とした現状をチャンスだと捉えている演
説をぶちます。
映画の中で白人至上主義者の役を演じた俳優は、精神的に参ってしまって回復までに
時間を要したとか。
ではでは。