#2153/3726 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 22/03/26 19:55 ( 37)
せいちょうの季節 永山
★内容
BS日テレで放送の松本清張ドラマ「たづたづし」を録画視聴。ネタバレ注意です。
没後三十年とのことで、各局とも松本清張関連の番組が増えてる模様。
本ドラマは元々は一九九二年に地上波日本テレビ系列で放送された物で、多分、二度
ほど視聴している気がするんですけど、内容はほとんど忘れてた。(--;)
ざっくり言うと、お役所勤めの主人公が、些細なきっかけで若い女性と関係を持つ。
その女性の夫は傷害事件を起こして刑務所に入っている半やくざ者で、あと少ししたら
出て来る。一緒に逃げてと言う女性に対し、主人公の男は表面上は応じるが、実際には
家族(妻は役所の偉いさんの娘)を取る。山中で殺害したつもりが、後日の報道で女性
が蘇生し、記憶喪失になって喫茶店で働いていることを知る。主人公は様子を見に行
き、再び女性を連れ出す――といった展開。
今回感じたのは、殺人未遂を犯した以降の主人公の行動が、よく分からないなと。女
性の様子を見に行くのはいいとしても、くだんの喫茶店に入って、記憶喪失が本物かど
うかを確かめるのはいささか冒険が過ぎるんじゃなかろうか。仮に記憶を失っていて
も、主人公の顔を見たのがきっかけになって思い出すという場合もありそうなんだか
ら。
主人公は秘密のメモを渡して女性と外で落ち合い、用意した貸家に住まわせるように
なる。って、これでは元の木阿弥ではないのか。前科持ちの男が住所を知らないという
だけで、他は元の状態と何ら変わりがない。しかもここまでしておいて、主人公は再び
女性の殺害を考える(思いとどまりますが)。ここで殺したら、状況は悪化するばかり
じゃないの。
結局、女性はムショ帰りの夫に見付かり、連れ戻される。その後、記憶を取り戻す
が、主人公を訴えることはせず、主人公との間にできた子供を産んだ上で、夫との生活
を選ぶ。ここら辺、駆け足気味で描かれたためかこれまた理解しがたいのですが、夫は
かなり粗暴な性格で、いくら妻たる女性に言い含められても、他人の子供を育てる気に
はならないように思える。まさか自分の子供だと思った訳であるまいし。
その後、地方の採掘場を訪れた主人公は、くだんの女性をたまたま見掛けて、土地の
者から彼女の近況を知る。そして彼女とすれ違った際に、ちょっとした仕種で彼女の記
憶が戻っていることも悟り、また、彼女の抱いている赤子が自身の子だと理解する。
ここは偶然が気になりますが、小説的に盛り上げるには仕方がない。
で、このあとの主人公の行動が分からない。女性の近況を知らせてくれるよう土地の
者に頼んで、毎年知らせてもらうようになる。いや、気になるのは分からなくはないけ
ど、知ってどうするのって話。夫の暴力が再発していたら助けるつもりだったのか。そ
んな余裕があるようには見えなかった。
てことで、主人公のキャラがぶれぶれで、不安定だった印象。一貫してぶれているこ
とが逆に安定していると言える?
ではでは。