#2135/3723 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 22/03/10 20:05 ( 29)
トリック・リサイクル 永山
★内容
以前、ちょっとだけ触れた読み切り漫画「鬼はよく燃えているか」(佐藤宮 KAD
OKAWA『ハルタ』91号掲載)をようやく読むことができました。※以下、同作及
び同じ作者の「謎めいて恋」、さらに小説『占星術殺人事件』(島田荘司)、漫画『異
人館村殺人事件』(さとうふみや・金成陽三郎)のネタバレ気味な内容になっています
ので、ご注意ください。
この作品だけが目当てだったから、電子書籍版をクーポン使って安く買えてよかっ
た。(^^; 読みたくなった理由も、某巨大掲示板で本作が、『占星術殺人事件』(講談
社他)と同じトリックを使っているとの書き込みがあったためだし。
で、結論から言うと、同じトリックでした。トリックの扱い方は、どちらかという
と、同じく『占星術殺人事件』のトリックを再利用した『金田一少年の事件簿2〜3巻
異人館村殺人事件』(講談社コミックス)の方に近いかも。「異人館村・」がトリッ
ク再使用がかなりあからさまだったのに比べて、「鬼はよく・」の方は終盤まで隠そう
という意図が感じられ、結果、大事な手掛かりの提出そのものが遅くなっている。ミス
テリとしてはそこが難点ではあります。
ただ、トリックの消化の仕方は悪くない。巧みなバリエーションとまでは行かずと
も、現代に当てはまるよう、うまく舞台設定したな〜。現代の科学捜査に耐えうるもの
に仕立てようとする段取りがよかった。トリックが先にあって、あとから登場人物を決
めたんじゃないかって思えるくらいぴたりとはまっている。そして同じ登場人物達でシ
リーズ化できそうなのも、結果的にそうなったのか否か分かりませんが、物語作りとし
ては成功したと言えそう。
なお、作者の佐藤宮の八咫烏杯受賞作「謎めいて恋」(ネット公式無料配信で読みま
した)では、収斂火災を利した放火トリックが使われているので、ミステリをよく読む
人なのは間違いないんじゃないでしょうか。
「謎めいて恋」は粗筋で放火について触れてあったので、“もしも放火トリックが
『火刑都市』(島田荘司 講談社)と同じだったら、さすがに同じ作者の作品から続け
ざまにトリック再利用するのはやりすぎになるのでは”なんてことを思いつつ読み始め
たんですが、異なっていて、ある意味ほっとしたです。(^^)
ではでは。