AWC 三十七年前の掘り返し   永山


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#1834/3617 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  21/06/29  20:45  ( 29)
三十七年前の掘り返し   永山
★内容                                         21/07/02 19:31 修正 第3版
 スカパー!お試しを利して、ホームドラマチャンネルで放送の松本清張ドラマ「地の
骨」を録画視聴。一応、ネタバレ注意です。
 原作小説は未読で、ミステリだとばかり思っていましたが、蓋を開けてみると大学教
授の座を巡る暗闘、というか表立ってのばちばちもありましたが、とにかくミステリの
要素は薄い。田村正和演じる反主流派の川西助教授が首尾よく教授の座を射止められる
かどうかが興味の焦点。ただ、このドラマにおける田村正和は、徹頭徹尾正義の人とい
う役ではなく、教授選に勝つためにはちょこちょこと悪いことにも手を染めます。主流
派の連中はそれよりもひどい悪事をやっているのだから、それを正すためには多少の不
正は許される、という意味のことを嘯きます。
 本ドラマの制作は一九八四年とあります。田村正和もさすがに若いことは若いです
が、近年の姿とあんまり変わっていないとも言える。見た目よりも、声がだいぶ違って
いたんですね。後年のようにかすれておらず、多少粗野な単語を口にしても不釣り合い
にならない。
 主流派の理事長がなかなかの切れ者で、川西助教授が頑張ってかき集めた不正の証拠
を、簡単に跳ね返す。一敗地にまみれる田村正和というのは、あんまり見た記憶がない
です。ついでに言うと、ベッドシーンも滅多にないのでは。このドラマで初めて見た気
が。
 古畑任三郎を演じ出した頃の田村正和では、大物感というか貫禄がつき始めているの
で、この助教授役は難しかった、もしくは似合わなかったかもしれません。四十年近く
前の若き田村正和が演じたからこそ、ぴたりとはまった気がします。
 クライマックスが過ぎ去り、ラスト近くで飲み屋のママさんが言った台詞のしたたか
さが効いている。結局は踊らされていただけなんだなあ、と。まあ視聴者にもっと分か
り易く明示してくれた方が、盛り上がる演出にはなったと思う。
 あと、タイトルの意味がよく分からない。と感じたので検索してみたら、なるほど 
地骨”という言葉があるのね。知らなかった。

 ではでは。

 あ、朝霧さん、拙作を読んでくださり、ありがとうございます。





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