AWC 二つの“疑惑”   永山


        
#1802/3621 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  21/05/24  20:10  ( 23)
二つの“疑惑”   永山
★内容
 BSトウェルビで放送された松本清張ドラマ「疑惑」一九九二年版及びテレビ朝日系
列で田村正和追悼番組として急遽放送された松本清張ドラマ「疑惑」二〇〇九年版をそ
れぞれ録画視聴。ネタバレ注意です。
 今さら感想を述べるほどのこともない有名作品だよなと思いつつも、二つの「疑惑」
は結構異なった部分があって、楽しめました。
 主に、佐原弁護士・球磨子・記者の設定の違いが顕著でしたね。
 佐原は一九九二年版では小林稔侍が演じ、基本的に穏やかで、相手を包み込むような
キャラクターだったのに対し、二〇〇九年版では田代正和が演じ、公明正大を前面に打
ち出した、冷静だけれどもときに熱さを見せるキャラになっていた。
 面白いのは、二〇〇九年版での被害者福太郎を演じているのが小林稔侍である点。何
かの狙いがあってキャスティングしたわけではないんでしょうけれど、面白い。
 さらに言えば、二〇〇九年版で球磨子を演じた沢口靖子は、かつて「古畑任三郎」シ
リーズの一作で、犯人役を務めている。これも面白い。
 沢口靖子の球磨子はその物語の構成と相まって、情のある女として一面が最後に出て
来てました。そこも含めて、多少“いい話”として締めくくろうとした感じ。一九九二
年版の球磨子はいしだあゆみが演じ、徹頭徹尾、悪女でした。無理心中をするよう仕向
けたのも球磨子の悪知恵で、これは完全犯罪ではないかと示唆するところで終わる。
 表面的に一番異なっていたのは、大々的に球磨子追及キャンペーンを張った記者。一
九九二年版では男性記者だったのが、二〇〇九年版では女性記者。これだけで感情の表
し方が随分と違ってくるもんですねえ。佐原をたぶらかして何とか矛先を収めさせよう
とするのも、女性記者ならではかな。

 ではでは。





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