#788/3609 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 19/02/14 21:36 ( 42)
一九八九年の臓器移植 永山
★内容
WOWOWのドラマ「孤高のメス」第五回を録画視聴。ネタバレ注意です。
緊急搬送された湖水町町長の大川は重度の肝臓病で、このままでは保って3〜4ヶ月
の命だと当麻に診断される。生体肝移植を行えば助かる可能性が高いと、当麻は勧める
が、町長は家族(娘)の身体を傷付けるようなことはしたくないと固辞する。それなら
ば(当時の)日本では特にハードルが高くなるが脳死肝移植はどうかと提案。しかし町
長はこれに対しても、他人の死を待ち望むような手術は好ましくないとして首を横に振
った。
町長が病に倒れたことにより、病状の詳細こそ伏せられたものの、反町長派が勢いを
取り戻し、工場の代わりに病院を呼ぼうという活動を再開する。
大川町長の娘で看護師の翔子は、当麻に自分の適合検査を頼み込む。娘の本気を示せ
ば父も翻意するかもしれないという考えだった。当麻は引き受け検査するが、後日分か
った結果は不適合。性差によるサイズの問題が立ちはだかった。
一方、日本初の生体肝移植を主導し執刀した実川は、ますます世間の注目を浴びてい
た。ドナーである父親は順調に回復したが、レシピエントの空也少年の方は一進一退
で、拒絶反応との戦いが続く。マスコミにも逐一発表していたが、概ね手術は成功とい
う論調。だがある日、内臓が重い癒着を起こして空也の生命が危ぶまれる状態に。薬で
何とか抑えているが、このままではいずれ死ぬ。最終手段として再度の肝移植、それも
脳死肝移植を卜部に提案する実川。近江大病院にはちょうど交通事故による脳挫傷で脳
死状態に陥った男性患者がいた。卜部は大病院の院長の椅子を得るためにも、空也少年
には最低半年は生きてもらいたいと願っているが、脳死云々と聞いて顔色を曇らせる。
生体肝移植が成功したとならまだしも、その失敗の尻拭いのような形で脳死肝移植なん
て絶対に無理だと強硬に反対。だが、実川は当麻と共同し、さらに近江大病院の倫理委
員会にも根回しをしたことで、卜部から色よい返事を引き出せそうになる。
しかしちょうどそのとき、新聞が届く。生体肝移植は失敗、続けて脳死肝移植を実施
かという記事が一面に出ていた。野本が記者にリークしたのだ。これによる事態は逆戻
りし、脳死肝移植は却下。結局、空也は心停止を起こしそのまま亡くなった。
記者会見を開いた実川は、記者からの「手術ミスがあったのでは」という質問に否定
の返事を寄越すが、隣で同席していた卜部が別の見解を示す。「ドナー手術を担当した
医師(当麻)がご母堂の急病を聞いて、手元がほんの少し疎かになったかもしれない」
と。この見方について、意見を明確にするよう記者から求められた実川の答は。
――粗筋はこんな感じ。ラストシーンは、粗筋の通りで、実川がいわゆる“暗黒面”
に墜ちるかどうかってとこ。シーズン跨ぎの最終回でこれを使ったら、ちょっと珍しい
クリフハンガーの技法になるのかな。
だいたいの流れは予想通りだけど、細部は結構予想と違う。細かい点で拘りを持って
作られている。ラストよりもだいぶ手前のシーンで、当麻が手術に最後まで立ち会わな
かったことを(心理的な意味で)悔いている台詞を口にしていたけれども、まさか暗示
だったとは。
ところで本作では、架空の“日本初の生体肝移植”が描かれている訳ですが、実際に
日本初の生体肝移植に関わった人々が本作を視聴したら、一体どういう感想を抱くのか
なと、ふと気になりました。
ではでは。