#782/3611 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA ) 19/02/09 19:37 ( 43)
異色の展開 永山
★内容
WOWOWのドラマ「孤高のメス」第四回を録画視聴。ネタバレ注意です。
「明日手伝え」という探りに、青木が漏らした「近江大病院に当間先生と共に行く予
定があります」との言葉から、野本は生体肝移植手術の予定が早まったことを掴む。実
川は、野本と通じている記者からの改めての質問攻勢に、情報が漏れていると認識。手
術前に公表に踏み切る。
手術当日の十一月一日朝、病院にやって来た記者に手術実施を認める実川。卜部はマ
スコミを味方に付けようと、応対に忙しい。そんな中、当麻も甦生記念病院から近江大
病院へ移動し、ドナー手術の準備に掛かる。その矢先、熊本の叔母から電話が。母が倒
れて病院に救急搬送されたという。帰って来られないかと言われた当麻だが、今日は大
事な手術があるから明日になると答える。そして母親が倒れた事実を周囲には隠したま
ま、手術に臨む。
昼から始まった手術は、レシピエントである空也少年の状態確認に少し時間を要し、
やや遅れて進行する。それでも移植に問題はないとなり、続いてドナーである父親の状
態確認を経て、摘出に差し掛かる。その直前に熊本から緊急の電話が入り、手を離せな
い当麻に代わって、実川が出る。そこで当麻の母が心筋梗塞で危篤状態だと知らされ
る。驚く実川だが、すぐに手術室に駆け付け、当麻の助手を務める青木と交代する。当
麻は(実川の心配をよそに?)見事に摘出成功。その腕前を称賛した実川は、続けて当
麻の母親の容態を知らせ、即座に動けば飛行機の最終便に間に合うと促す。当麻は逡巡
の後、あとを実川達に託し、熊本に飛ぶ。
いよいよ空也少年への移植が始まる。卜部がやって来て、執刀中の実川に夕刊の一面
に記事が大々的に出たこと、手術が終わったら記者会見を行うことを伝える。あとどの
くらい掛かりそうかと問われた実川は、2,3時間と答えたが、実際にはそれを遙かに
超える時間を要し、終わったのは午前0時20分。実に半日がかりの大手術となった。
当麻はラジオなどで手術の経過のニュースを耳にしつつ、熊本の病院を目指す。が、
到着したときには、すでに母親は亡くなったあとだった。叔母が病床で意識のない母に
当間は手術で来られないことを伝えると、聞こえたかのように微笑み、涙を流したとい
う。
移植手術はひとまず成功裏に終わり、実川は一躍時の人となる。父子ともども経過は
良好でまずは一安心だが、少年については少なくとも半年〜一年は容態に細心の注意を
払わねばならない。
熊本から戻った当麻は、実川のようにマスコミの注目を浴びることもなく、甦生記念
病院の職に復帰。院長に母親のことと生体肝移植について報告していると、急報が入
る。湖水町長長が工場の建設予定地を視察中に吐血して倒れ、当病院に搬送されてくる
という。
――粗筋は以上のような具合。ほぼ並行して、三つの事柄が進んでいる感じ。どれも
等分に描くのではなく、ちゃんと力を入れるポイントを絞っているので、すっきりして
おり観賞しやすい。
それにしても、予想していたより焦らしてくるなあ。母親の急病と死は想定の範囲内
でしたが、生体肝移植手術はこの第四回のラストで容態急変となるものとばかり。もっ
と性急にことが展開すると思っていましたので、少し驚いたのと同時に、このじっくり
描く姿勢は参考にしたいものです。
ではでは。