#217/569 ●短編
★タイトル (dan ) 04/11/12 05:07 ( 57)
プロ野球について 談知
★内容
ワタシが子供のころやっていたスポーツって、結局野球しかない
わけよ。テニスはむろんサッカーすらほとんどやってないんじゃな
いか。我々の世代まではだいたいそんなもん。だからたとえばルー
ルひとつにしても、野球ならほぼ分かっている。それに対してサッ
カーですらはっきり知らない感じだもんな。オフサイドってなに、
という感じ。こんなんだから、ワタシが野球一筋なのも当然か。
野球といってもプロ野球がほとんどだな。高校野球には全然興味
がない。社会人もそう。何でもそうだが、特に野球はデータが大事
なわけだ。面白くみるためには、どのくらいデータを知っているか
が重要なのだ。選手のデータ。この選手は打率何割でいいところで
打つ選手だとかいったこと。この投手はいったん打たれ出すと止ま
らない、とかいうことを知っているかどうかで面白さに差がでる。
そのデータを知っているのはプロ野球だけだ。だからやっぱり野球
はプロ野球ということになる。
野球というのは、あれこれ推理して展開を予想しながら見るスポ
ーツなのだ。ただ単に、投げて打って走ってという運動をみるスポ
ーツではない。運動だけみていたら、そう面白いスポーツではない
と思う。あんまり動きもないわけだし。運動だけならサッカーのほ
うがよほど面白いと思う。試合中はずっと走りっぱなしなわけだし。
つまり、野球は頭を使ってみるスポーツだ。
子供のころの野球の思い出といえば、やはり長嶋かな。ワタシが
テレビで野球を見出した頃は、長嶋はすでに晩年に近いころだった
と思う。でもかっこよかったよ。華があった。ひとりだけぱっと輝
いているみたいなひとだった。長嶋の引退。第一試合と第二試合の
間に、後楽園球場をひとりで泣きながら一周した。ワタシも泣いた。
野球をみて泣いたのはそのときだけだ。我々の世代はその記憶を持
っている。だからいつまでも長嶋長嶋となるわけだ。
ワタシは阪神ファンである。まあ大阪に住んでいれば自然にそう
なる。UHF局でほとんど全試合流しているし。それをずっと見て
いればどうしても応援したくなる。しかし、これほど応援しがいの
ないチームも珍しいで。勝たないんだもんな。負けまくる。ファン
は負けるのを承知で応援する。負けを楽しむという心境にまでいっ
ている。だからたまに勝つとうれしさ倍増だ。しかし去年のように、
優勝までしてしまうと、うれしいというより逆に不安になる。何か
起きるのとちゃうやろな。まあ負けて安心、勝つと不安というのも、
微妙な阪神ファン心理だな。
長く阪神ファンで、毎日テレビの前で一喜一憂してきたワタシで
あるが、ここ2年ほどはかなり冷めてきた。あんまりテレビも見な
いし、甲子園にもいかない。優勝した去年でさえ一回もいってない。
野球に興味が薄れてきたのだろうか。野球をみるという受け身の楽
しみにちょっと飽いてきたということもあるかもしれない。みるで
なくやるという能動的なもののほうが、やはり楽しみは大きいと思
う。たとえばこうして文章を書くとか、本を読むとか、女性と付き
合うとか、そういうことが多くなったので、その分受け身の楽しみ
の野球観戦などに興味がいかなくなったのだろう。まあそれも自然
の流れなら、それでもいいかなと思っている。
しかし、野球観戦ほど安くあがる楽しみはないよな。毎日テレビ
でただでやっている。ただということも重要だが、毎日ということ
も重要だ。他のスポーツで毎日テレビでやっているものって少ない
もんな。ケーブルテレビなど使えば、サッカーとかテニスとかやっ
ているかもしれないが、普通のテレビだと野球だけだろう。これが
好きと嫌いでは、毎日楽しめるか楽しめないかという違いがでる。
ワタシはずっと毎日楽しんでこれた。本当に面白かった。プロ野球
に感謝している。これからはどうなるかわからないが、それでもま
ったく野球をみないということはないだろう。これからもワタシの
楽しみの大きな部分を占めるのは間違いない。これからも長く野球
とつきあっていきたいと思っている。