#293/654 ◇AWC編集室 *** コメント #292 ***
★タイトル (GVB ) 05/01/17 01:15 ( 75)
2004年AWC大賞部門賞投票 Trash-in
★内容
すべての作品を読んだわけでもなく、しかも自分の好みを抜きにした投票はでき
ないので、偏りがあると思いますが、いくつか選びました。
1.長編賞
あまり読めなかったので、一票だけ投票します。
「水と和音(とりあえず版) : 泰彦さん」
「水と和音」は過剰な「甘さ」がなく(思春期を扱った小説で「甘さ」が過剰
なものは苦手なので)、地に足がついている感じがして、好感の持てる作品でし
た。
佐知絵が図書館で「大漢和辞典」をほれぼれと眺めてしまう、そういう細かい
キャラクターの味付けが好きです(この設定はとても気に入りました)。
気になる点は、佐知絵が狂言回しになっているためか、佐知絵の心理描写が少
なく、ラストの変化が説明不足に感じられました。
あと、和音の大舞台での成功が唐突というか、違和感を感じました。大役を見
事に果たしきるのではなくて、よろよろしながらなんとかやり切った程度にとど
めておくという手もあったのではないかと思いました。その後も和音が大変身し
たわけではないので、不都合はないと思います。完璧ではなくても、やり抜いた
という事実だけで自信がついてしまったという展開の方がリアリティがあるかな
あ、と(あまり自信がありません)。ただ、そうなると地味になりすぎるかもし
れませんが。
シリーズ化の予定があるということなので、佐知絵をもうちょっと詳しく描写
した作品が読んでみたいです。
もう一票は棄権します。
2.短編賞
だいたい読んだので、二作品選びました。(@Aの順序は発表日の古い順)
@「幸福の四葉 : 永山さん」
A「桜の下で : $フィンさん」
@は、先輩にも事情の話せない三反薗の、心理描写というか駆け引きが巧みで読
み応えがありました。こういう状況に主人公を落とし込み、しかもその後で警察
に事情を話せるように合理的な解決を盛り込む作者の手腕に感心しました。
と、良質な作品であることを前提に、以下私のワガママを書きます。
誘拐事件の解決までに、もう一ヤマ欲しかった。もうちょっとねばったストー
リーが読みたかったし、もっとねばれたと思います。そうなると、短編ではなく
なるし、永山さんの発表ペースを考えると、やはりワガママでしょうね。
Aは、なんというか、奇妙なユーモアが感じられる不思議なもので、素晴らしい
作品でした。$フィンさんの小説を読んだのはこれが初めてだったのですが、桜
の妖しさを上手く利用したと思います。この感想を上手く表現できないのがもど
かしい。「幼児のもつ残酷さ」に似た何かを漠然と感じたのですが、上手く説明
できそうにありません。
物語はかなりのハイテンポで進んでいくのですが、語り手のトンデモナイ行動
を、ですます調の丁寧な文章が不協和音のように不気味さを煽っていて、これが
桜の妖しさと相俟って、読んでいる間、濃い霧が周りにたちこめているような感
覚がありました。しかもまるで結末が見えず、この物語はどこに着地するのだろ
うと思いながら釣り込まれました。最後の一行が特に気に入りました。この一行
にユーモアを感じる私は、かなり特殊なのだと思いますが。
次点というか、二票という制約がなければ選んだ作品も挙げておきます。
B「春が来たよ : 麻村帆乃さん」
C「スイカ〜御伽噺 : $フィンさん」
Bは、あっさりとした(いい意味でです)、郷愁を誘う読後感が印象に残りまし
た。
Cは、いきなり「ち○ぽ」とあったので、笑ってしまいました。女王様がナイス
バディっていうのもいいですね。
3.連載賞
ほとんど読めなかったので、棄権します。
4.文芸賞
@悠歩の昔語り その1「どぶ川のザリガニ」
A談知さんの一連のエッセイ
@は、ザリガニ捕獲の懐かしさに一票。私が育った地方では、豊橋が近かったせ
いか、餌にちくわを使っていた記憶があります(「豊橋名産ヤマサのちくわ」と
いうCMが懐かしい)。
Aは内容が多岐にわたっているのですが、株式投資の話を特に面白く読みました。
「野村證券のバーチャル投資」の回です。何もせずに放っておいたら、損してい
る人間の方が圧倒的に多かったという、哀しさの滲む皮肉なレポートがいいです
ね。