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★タイトル (AZA ) 11/12/25 22:58 ( 24)
本の感想>『ストレート・チェイサー』 永山
★内容
・『ストレート・チェイサー』(西澤保彦 光文社カッパノベルス)
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ふらりと入ったバーで、見ず知らずの女二人と意気投合したリンズィは、酔
った勢いで、交換殺人――それも三人で行うトリプル交換殺人の計画に乗って
しまう。リンズィは上司であるタナカを犠牲者に指名する。だが翌日、そのタ
ナカの家で殺人が起きたと知り、縮み上がる。冗談だと思われた殺人計画が発
動したのか? しかし奇妙なことに、タナカ邸での殺人現場は密室状況だった
のだ。
奇抜な設定を得意とする作者が放つ、ツイストの利いたミステリ。
これは作者の計算違いだと思わずにいられない。本作では、ある特殊なアイ
テムの存在が明確になり、そこからロジックが引き出されて、面白さにつなが
る。だが、そういう展開になるのは終盤近くで、あまりにも遅い。もっと早く、
できることなら冒頭からアイテムの存在をはっきりさせた方がよかったんじゃ
ないかと。
ただまあ、犯人を当てるのはさほど難しくないと考えられる本作で、もう一
つの仕掛けまで早々に明かしてしまっては、読者に全部見通されてしまう恐れ
が高くなる、だから曖昧にしておいたのかもしれず。そういう意味では難しい
ところ。
また、このタイプのミステリによくあることですが、トリプル交換殺人は素
直に進行しません。このアイディア自体、悪くはないんだし、もうちょっとこ
ねくり回してほしかった。
ではでは。