AWC 本の感想>『綺想宮殺人事件』   永山


        
#6725/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  11/07/03  21:20  ( 23)
本の感想>『綺想宮殺人事件』   永山
★内容
・『綺想宮殺人事件』(芦辺拓 東京創元社)11/5240
 万乗庫之輔が琵琶湖のほとりに建てた綺想宮。それは古今東西の奇想からな
る怪奇な建築物を集めた迷宮のようなテリトリーだった。そこを訪れた弁護士
にして名探偵の森江春策を待ち受けていたのは、何癖もある奇妙な滞在客七名
と性別不明の案内人。そして登場人物が揃うのを待っていたかのように、自動
的に詩を紡ぐ機械が呪いの歌を吐き、それになぞらえた死体が次々と出現する。
 “探偵小説の最期に捧げる”と称する長編ミステリ。

※真相に気付きやすくなるかもという意味でネタバレ注意
 うーん。冒険譚的な方向を追い求めながらも、語り口にリーダビリティが乏
しい点が、この作者の最大の短所だと思っていますが、本作はそれがさらに悪
い方向に行ってしまったような。頑張って書き写したな、としか感じられない
ペダントリーに、長々としすぎて違和感のある探偵の推理披露、伏線もなくい
きなり提出される“事実”と、物語に読者を引きずり込むのを悉く阻害してい
る気がする。
 やりたいことは何となく分かるし、これはメタミステリ風ミステリ、アンチ
ミステリ風ミステリなんだと捉えれば、ありかなと思う。けど、ミステリの部
分にもっと磨きを掛けてほしかった。
 唯一、ペダントリーを語ることに意味があったという趣向はよかった。花時
計については、事前に他のミステリ漫画で知識を得ていたので驚きはなかった
ものの。

 ではでは。





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