#6636/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 11/05/05 18:00 ( 33)
本の感想>『放課後探偵団』 永山
★内容
・『放課後探偵団』(梓崎優 他 創元推理文庫)14/5441
段ボール一箱に詰め込まれたビデオテープを、いかにしてすり替えることが
できたのか(「お届け先に不思議を添えて」)。百あるはずの野球のボールが、
練習終わりには九十九になっていた。いくら探しても出て来ない一球の行方を
ロジカルに解き明かす(「ボールがない」)。バレンタインデーで盛り上がり
をみせる高校の教室で、いくつかのチョコレートがひとまとめにされ、教卓に
置かれていた。何のために?(「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」)。
自主製作映画の試写中、メンバーの一人が赤ワインを浴びて一騒動に(「横槍
ワイン」)。十五年ぶりの同窓会で、タイムカプセルから出て来た手紙の一つ
には“犯行宣言”が記してあった。卒業式当日、放送室をジャックした“犯人”
は一体誰?(「スプリング・ハズ・カム」)。
五人の若手作家が学園物をテーマに競ったアンソロジー。
収録作の一つを読みたいがために購入しましたが、もし本書を予備知識なし
に手に取り、読んでいたとしても、とてもよい拾い物をしたと感じていたでし
ょう。
「お届け先に不思議を添えて」は、問題設定の改めが足りなかった気がする。
謎の提出がもっとすっきりできていたら、この消失?トリックをもっと楽しめ
たはず。
「ボールがない」はとあるパズルの原理を応用したかのような手法で魅せて
くれる。惜しいのは改め不足に感じた点。途中で帰った部員が部をやめる記念
に一球拝借してバッグに隠した可能性を潰しておいてほしかった。
「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」はマジックを扱っているだけでも
興味を惹かれる上に、解き明かされる真相がなかなかユニーク。やや独善的な
気がしないでもないけれど、面白い。
上記三作は高校生が主要登場人物なのに対して、「横槍ワイン」は大学生。
これって高校生に置き換え可能だと思うんだけど、何で大学生にしたんだろ。
謎の答は心理的な要素が強いのに、納得させられました。
「スプリング・ハズ・カム」は、ミステリのトリック的にはどうってことの
ない作品なんだけど、扱いがうまくて、とても印象に残る物語に結実してる。
それにしてもこの主人公、いくら何でも落ち着きすぎ(笑)。
ではでは。