AWC 本の感想>『新・本格推理 特別編 不可能犯罪の饗宴』   永山


        
#6626/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  11/04/25  20:41  ( 28)
本の感想>『新・本格推理 特別編 不可能犯罪の饗宴』   永山
★内容
・『新・本格推理 特別編 不可能犯罪の饗宴』(二階堂黎人 編 光文社文庫)
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 一面の雪の上を、下駄“だけ”が歩いて、足跡を残していく……。近くの四
阿では、男が死んでいたが、それは密室殺人の様相を呈していた(「死霊の如
き歩くもの」)。あらゆる難病に効く可能性があるという木の実が存在する世
界。その木の実――マノミを扱える初音の家に、大国の領主が病の奥方を連れ
てやって来る。治癒の代償に、一番愛する者に関する記憶を失うマノミを奥方
が飲むそのとき、事件の引き金が(「花散る夜に」)。開発のために惑星に送
り込まれた八人のクルー。彼らの中には少なくとも一人のアンドロイドがおり、
ロボット三原則に従って行動するが、誰がアンドロイドなのかは人間のクルー
には分からない。そんな状況下で七人が死亡し、一人が行方不明となる。遠く
離れた星で過去に起きた大量殺人の謎に、地球上の刑事が記録だけを元に挑
む(「だから誰もいなくなった」)。
 「本格推理」シリーズ出身で、プロになった作家達の六作に、公募で選ばれ
た一作を七番目の椅子として加えて編んだアンソロジー。

 どれも本格推理たらんとして書かれており、満足できる水準になっているん
じゃないでしょうか。ストレートな作品ばかりではなく、上に挙げたような異
世界物や宇宙を舞台にした物、さらには公開刑場から死刑囚の救出を図る組織
と食い止めようとする警察との頭脳心理戦を描いた「ハンギング・ゲーム」、
宮沢賢治が探偵役を務める「かれ草の雪とけたれば」等々、本格でありながら
変化球を織り交ぜたバラエティ豊かな一冊と言えましょう。
 中でも注目は、七番目の椅子に選ばれた「だから誰もいなくなった」かな。
アンドロイド達の行動を極端なものにすることで、ロボット三原則に絡めたロ
ジック展開で魅せてくれる。ただ……優秀なはずのアンドロイド、他にやりよ
うがなかったのかと。

 ではでは。





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