#6521/9229　◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (sab     )  11/02/23  04:53  ( 16)
「腋臭風呂」（西村賢太）　感想　ぴん
★内容
「二度はゆけぬ町の地図」収録。
パターンとしては
親の犯罪のせいで自分の人生台無しという感じなのだが
「腋臭風呂」では
たまたま銭湯にいた腋臭のおっさんのせいで自分の人生が台無しになり
又、たまたま買った風俗嬢の腋臭のせいで自分の人生が台無しになったりする。
なんでそんなおっさんをスルー出来ないのであろうか。
全く自分とは関係がないおっさんと風俗嬢が脳内で”物語”
として連結された瞬間に自分の経験となったのだろう。
であるからこれらは私小説といっても自分の経験ではなく
逆に自分の経験ではない事への敏感さは
炭鉱のカナリアたりえるかも知れないのである。
もっとも被害妄想が動機になっている犯罪者の心理もこんな感じなんだろうが。
元厚生事務次官宅連続襲撃事件とか。
「罪と罰」のラスコーリニコフも老婆のせいで不幸になったなどとなっているが
同類かもしれない。