AWC 密室分類   永山


        
#5167/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  08/09/24  20:42  ( 45)
密室分類   永山
★内容
 ミステリ好きなら、トリックの分類、特に密室トリックの分類をやりたくな
るらしく、有名どころのみを取り上げても、ディクスン・カーや江戸川乱歩、
二階堂黎人といった面々が行い、発表しています。
 嚆矢とされるカーの分類は、実際に犯人は室内にいなかった場合と、犯人が
室内にいてドアや窓に細工をして脱出した場合との二通りに分けました。シン
プルに言い換えると、犯人が部屋にいたか否かが基準です。
 乱歩はこれを一歩進め(洒落ではない)、犯行時に犯人が室内にいたか否か
に加えて、犯行時、被害者が室内にいなかった場合も基準に取りました。
 二階堂黎人は、密室を構成する要素で分類しています。即ち、鍵を掛ける方
法等で密室を構成するか、殺人手段に関する方法で密室を構成するか、犯人及
び被害者の出入りで密室を構成するかの三通りに。
 他にも、時間的観点や、密室を作るトリックの性質に着目した分類などが知
られています。
 このように、分類する基準に何を取るかが、特色になる訳です。
 で、自分もやってみようと、何か基準がないかと探してみるも、なかなか見
付かりません(トリック研究の態度としては、ちょっと間違っている(笑))。
 とりあえず思い付いたのが、密室を作った主体で分類する方法。

1.犯人が密室を作った場合
2.被害者が密室を作った場合
3.それら以外が密室を作った場合

 思い付いたあとで、二階堂黎人の別の分類に似ていることに気付いた(汗)。
ただ、その分類が密室の性質に着眼した物であるのに対し、私の思い付きでは、
飽くまでも現場を密室状態にせしめた主体に注目。一応、別物です。

 でも、他に問題点が。事例を挙げようとすると、1の事例が多すぎてバラン
スが悪く、据わりが悪い。
 1が数多あるのに比べて、2は「被害者が施錠後、室内の仕掛けや毒物で死
亡」「人の通り得ない隙間を利して殺害」「早業殺人」「内出血密室」ぐらい
かな(少なくともあと一例あるけれど、新しいので触れない)。あ、自殺は1
と2、どちらとも言えるので省きます。
 ちなみに3は、「他殺と判定されては困る第三者が現場を密室に仕立てる」
「閉めた勢いで施錠」「目撃者や監視カメラ等により、犯人の意図せざる密室
になる」といったところでしょうか。2と同じく、多くはないでしょう。

 最大の問題点は、密室トリックの変形とされる、足跡なき殺人のトリックを、
この分類では捉えにくいということ。普通に考えれば、大部分がやはり1に入
れるべきですが、たとえば雪の密室は、雪が都合よく(犯人が信じた天気予報
通りに?)降り、やんでくれたからこそ、密室ができあがった。つまり、3に
分類できるとも言える訳で……。

 そんなこんなで、他に何か面白い分類の基準がないか、今も探している次第。

 ではでは。





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