#3804/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 06/12/09 18:57 ( 48)
感想レスレス>『I・Friend』※ネタバレ注意 永山
★内容
うひゃ。やっぱり読み違えていましたか。orz 無関係といえど平仮名「くる
み」を見落としていた段階で、まずいなという予感はありましたが。
ネタバレ防止を兼ねて、まず伏線について。
らいとさんの作品の伏線は、練り方が甘いということは決してなく、ただ、
伏線と暗示が混在している印象を受けます。あるいは暗示色の強い伏線という
か。読了後に物語を振り返ってみたとき、鮮やかな絵になっているのが理想と
すれば、その絵の前に霧が立ちこめているイメージ。
ストーリー作りで心掛ける点をある推理作家がエッセイで、またある少女漫
画家が漫画でかいていたのですが、伏線(手掛かり)に関してはほぼ同じこと
を述べています。曰く、「伏線は読者を導くものであるから、気付いてもらえ
なければ意味がない。しかしあからさますぎては白ける。読者が自分の力で見
付けたと思えるよう配置するのがこつである」といった主旨でした。
あと、どこで見かけたのか忘れましたが、「読者に伏線全部を気付くことが
できたと得意がられるのはしゃくだから、たとえば伏線が十あれば三つくらい
は非常に分かりにくいものにする」という考えの作家もいた記憶が。
らいとさんの御作の内、特にミステリ色の強い作品は読者に見抜かれまいと
するあまり、伏線の提示が込み入りすぎもしくは曖昧すぎになる傾向があるよ
うに感じます。上記したように全ての伏線を隠す必要はないし、全ての伏線に
気付いてもらう必要もない、そのさじ加減が肝心なのだと思います。
もう一点、本作の伏線が不発になりがちなのは、イマジナリーフレンドが一
般に広く知られている訳ではないというのもあるかも。通常思い付かないであ
ろう事柄に関して伏線を敷かれても、なかなか気付けない……。
まあ、イマジナリーフレンドの種明かしがされたあと、読み返して伏線を拾
おうとしなかったのは、読者として手抜きだったかしらん。ミステリだと、探
偵役が謎解きの際に伏線も教えてくれるものだから(汗)。
日付の錯誤トリックには、とある絶版になった評判のミステリで用いられた
のを見破った経験から、敏感になっております(笑)。
「メインの謎かけは最後の残った人格はオリジナルorイマジナリーフレンド」
確かにそうなんでしょうけど、この謎自体は本作に限らず、イマジナリーフ
レンドを取り入れた物語なら常に出て来るのでは? 私はそう捉えたため、軽
く流してしまいました。イマジナリーフレンドを扱った他の作品を少しでも読
んでいれば、また違った感想になったのかもしれず。
えーと、「レイヤーパートを削って、たすき掛けの論理に特化した方がよか
ったですかね」については、質問じゃないのかもしれませんが、一応レスしま
すと、作者の判断すべき事柄かと。その上で私の好みを述べていいのでした
ら、特化するしないは別として、レイヤーパートのような箇所(技法かな?)
はあんまり好きじゃないです。
それと、様々な読み方ができるのはその作品の多様性を示すもので、悪いこ
とじゃないと思います。第一、本作はリドルストーリーなのだから、色々と読
めた方がいいような(笑)。
ではでは。