AWC 本の感想>『ヴェロニカの鍵』   永山


        
#3348/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  06/05/05  21:57  ( 24)
本の感想>『ヴェロニカの鍵』   永山
★内容
・『ヴェロニカの鍵』(飛鳥部勝則 文藝春秋)13/4450
 七月一日の夜、絵描きの久我は、知人で同じく絵描きの郷寺の家を車で訪ね
る途中、奇怪なものを目撃する。首のない人間のような怪物が、暗闇を歩いて
いたのだ。
 その翌日、画商の香田庄乃とともに、再び郷寺の家を訪問した久我は、郷寺
の死体をアトリエで発見して驚愕する。現場は密室状態で、凶器の千枚通しは
被害者自身の物。しかも郷寺は凶器を握り締めていた。遺書はなかったものの、
状況から自殺と判断された。が、郷寺が利き手ではない左手に凶器を握ってい
た点など、不可解なことはいくつか残った。
 郷寺の死後、久我の前には死者と関わりのあった人物が、次々と姿を見せる。
偶然なのか、何かの意図が働いているのか。そして、久我は久しく諦めていた
“ヴェロニカ”を絵に描こうとし始める。

 芸術家のミステリ、だなあ。この辺りを掘り下げると、ネタバレにつながり
かねないので省略しますが、注意深く読めば、少なくとも最後に残る謎は、簡
単に想像が付くと思います。
 芸術家のミステリではありますが、それをつづる文章が、いま一つ。退屈と
までは行かないにしても、あまりにも思わせぶりで、伏せていることが多すぎ
ます。そのほとんどが、伏せるほどのことじゃないように思えたし。
 ただまあ、読みにくいんですけど、ぐいぐいと引き付ける力を持っている道
行きでした。読了すると物足りなさを感じてしまう物語、といったところでし
ょうか。

 ではでは。





前のメッセージ 次のメッセージ 
「◇フレッシュボイス過去ログ」一覧 永山の作品
修正・削除する         


オプション検索 利用者登録 アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE