AWC 本の感想>『新・世界の七不思議』   永山


        
#3314/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  06/04/10  22:04  ( 34)
本の感想>『新・世界の七不思議』   永山
★内容
 鯨統一郎強化週間、あるいは、超絶歴史物強化週間みたいになっております。

本の感想>『新・世界の七不思議』(鯨統一郎 創元推理文庫)16/5362
 アトランティス大陸、ストーンヘンジ、ピラミッド、ノアの方舟、始皇帝、
ナスカの地上絵、モアイ像――これら名だたる七不思議が、東京の冴えないバ
ーで様々なカクテルを味わい、一級の肴に舌鼓を打つ内に、いつの間にか新た
な解釈を与えられていく。しかも専門知識なんてほとんど持たない、一介のラ
イターの頭脳によって。
 『邪馬台国はどこですか?』に続き、今度は世界の謎に挑戦した短編集。バ
ーの設備にもお金を掛けて、今夜も歴史談義に花が咲く。

 新世界の七不思議だったら、大阪での話になってしまうが、あくまで新・世
界の七不思議。お間違えのないよう。
 と言っても、詳しい人はすぐにお気づきのように、上記粗筋で挙げた七つの
謎の内、実際に七不思議に数えられているのは、ピラミッドだけだそうで。そ
もそも、七不思議自体が確定していないらしいから、堅いことは言わない。
 物語の流れは、前回の『邪馬台国はどこですか?』同様、バーテンダーの松
永がお題を出し、静香が蘊蓄を垂れ、宮田が彼女に貶されつつも、その定説を
ひっくり返したり、思いも寄らなかった解釈をしてみせたりするというもの。
前回いなかった外国人教授が登場するぐらいで、あとは基本的には変わりなし。
小説としての起伏に欠けるきらいがあるけれども、歴史上の謎について、あー
でもないこーでもないと理屈をこねくり回す様だけでも、充分に楽しめます。
 日本に関わる謎を多く取り上げた『邪馬台国はどこですか?』に比べると、
今回はやや馴染みの薄いネタもあり、取っつきにくい感がなきにしもあらず。
でも、基本的なことは作中で説明されるので、そこを乗り切れば問題ないでし
ょう。
 個人的には、始皇帝についての解釈が一番面白かった。
 もったいないと思ったのは、サブタイトルが「〜の不思議」で統一されてい
たこと。これではどんな謎なのかが曖昧で、興味を持ちづらい。『邪馬台国は
どこですか?』は表題作を始め、「聖徳太子はだれですか?」「維新が起きた
のはなぜですか?」という風に、どのような謎なのかが分かるようになってい
たのだから、今回もそうしてほしかった。

 ではでは。





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