AWC 本の感想>『密室の鎮魂歌』   永山


        
#3078/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  05/10/06  18:48  ( 27)
本の感想>『密室の鎮魂歌』   永山
★内容
・『密室の鎮魂歌』(岸田るり子 東京創元社)14/6341
 気鋭の女流画家として知られるようになった友人・麗子の個展を観に来た麻
美は、連れの由加がとある一枚の絵の前で、突如悲鳴を上げるのを聞いて驚く。
由加に尋ねると、この絵を描いた人物は五年前、密室から失踪した夫の居場所
を知っているに違いない、と言う。しかし、麗子は否定し、由加の夫との接点
も一切なかった。
 そしてこの一件をきっかけとしたかのように、密室殺人が起こった。それは
一つに留まらず、関係者が次々に襲われるが、真相は一向に見えてこない。由
加の失踪した夫が背負っていた秘密に、全てを解き明かす鍵がある?

 第十四回鮎川哲也賞受賞作。題名の「鎮魂歌」はレクイエムと読ませます。
 謎の設定はいいんだけれども、盛り上がりに欠ける。淡々とした筆致や続発
する密室事件に関する書き込み不足等で、いまいちのめり込めなかった。登場
人物の誰にも感情移入できなかったし、魅力をさほど感じなかったのも大きい。
特に、女性キャラが嫌らしくて生々しくて。その辺り、いかにも女性の書き手
らしいと言えるのかもしれません。
 あと、作者は毒物に関する知識がどうなんだろ。てっきり、伏線だと思って
いた箇所が、作者の単なるミスで終わってた(と思う)。
 ついでに、三つ目の密室の謎解きが不完全な気が……。書いてある通りだと
すると、何で第二の鍵までロックする必要があったのか、分からんです。
 何となく、大人になってミステリを好きになった人が、こうすれば書けるな
という風にして書いた作品てな印象を受けます。新人賞らしからぬ、平均的な、
公式から生み出されたようなミステリ。まあ、謎の設定に独創性はあるものの、
それだけではちょっと食い足りない。第二作以降も、この独創性を維持してい
くようなら、続けて読んでもいいかなと思いますが、何となく期待薄。

 ではでは。





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