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★タイトル (AZA ) 05/09/28 18:50 ( 31)
本の感想>『BG、あるいは死せるカイニス』 永山
★内容
・『BG、あるいは死せるカイニス』(石持浅海 東京創元社)14/5441
天文部の合宿の夜、流星群の降る下で、姉の優子さんは殺された。服を上下
ともずらされた、レイプ未遂の状態で。美しく、誰からも慕われ、優等生だっ
た優子さんが何故? それに、“女が男にレイプされるという希なこと”が、
姉の身に降り懸かった理由も解せない――。
遥は怒りに突き動かされて、姉の死の真相を追い始める。BGというキーワ
ードと共に、女性ジャーナリストやドイツ人医師の影がちらつく。
全ての人類は女性として生まれ、成長の過程で一部の優秀な者だけが男性化
する世界で起きた不可解な事件は、やがて連続殺人へとエスカレートしていく。
特殊な設定でのロジックが冴える異色ミステリ。
うーん。ミステリじゃないな。SF。
SFミステリ、あるいはSF的設定下におけるミステリというジャンルは、
以前からある。私は本書を、その後者に属する作品だと思っていた。
だが、それにしては状況や世界観の説明が甘く、読者には物語世界のルール
が分からない。分からないまま、謎解きをしようとしても無理。そもそも、男
性化の説明自体、序盤では選択的にできるかのように読める。それがそうじゃ
ないと分かるまで、間が開きすぎ。
遥の思考があまりにロジカルすぎるのにも、違和感があった。いわゆる女性
らしさがほとんど感じられない。この物語世界での女性は皆、そういうものな
のかもしれないが、それならそうと分かるように書いて欲しいと思うし。
あと、**がこんなに簡単に事件を解決できるのなら、最初から**に捜査
させたらいいのに、とか、**の推理の内、レイプに関するくだりが独善的で、
脅そうとした可能性を排除してるんじゃないのか、とか、証拠が※※なら別に
そんな回りくどい推理をしなくても一発で分かる(事実、私は読みながら、何
で※※について突っ込んで調べないのだといらいらし通し)のに、とか、疑問
点が山盛りで、読後感がもやっとしてる。
最初からSFを読むつもりだったなら、もっとすっきり、楽しめたかもしれ
ない。いや、面白い物語ではあるんですよ。
ではでは。タイガース、今日明日だけは勝たんといてくれ。