AWC 本の感想>『ふたりのシンデレラ』   永山


        
#2760/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  05/03/02  22:02  ( 23)
本の感想>『ふたりのシンデレラ』   永山
★内容
・『ふたりのシンデレラ』(鯨統一郎 原書房)11/4331
 孤島にて合宿中の劇団員の内、一人が死亡し、一人が重傷、そして一人が逃
亡した。意識を回復した「わたし」は記憶喪失……。
 わたしはこの事件の証人です。/同時に、犯人です。そして、犠牲者でもあ
ります。/それどころか、探偵役でもあります。加えて、ワトソン役も務めま
す。/もちろん記録者でもあります。/さらに、濡れ衣を着せられる容疑者で
もあります。/最後に共犯者でもあるのです。(カバー折り返しより)
 空前絶後!?一人八役のトリックに挑んだ怪作。

 読み易いのですが、それは中身があまりないからで、物語の進め方も、登場
人物の描き方も、退屈に近い。特に、ヒロイン格の天野川夕華。メジャーデビ
ューが決定し、一流タレントに比肩する美貌の持ち主で、オーラのある女優と
のことなのに、その雰囲気が一向に伝わってこないのは問題ありかと。
 また、人気劇団という割には、作中に出て来る台本は、さほど面白いとは感
じませんでした。
 これで、最後にあっ!と言わせてくれたなら、がらりと変わってくるのです
が……幸か不幸か、道具立ての不自然さと物語半ばのとある記述から漠然と推
理したことが、偶然にもほぼ当たっていたため、点は低くなりました。
 意欲作であることは認めるものの、もっと丁寧に仕上げてほしかった。あの
『邪馬台国はどこですか?』(創元推理文庫)を書いた作者なんだから、少な
くともキャラクターは魅力的に描けるはずと思いますし。

 ではでは。





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