AWC ミスlead? ミスread? 久作


        
#2571/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (gon     )  04/12/20  02:47  ( 76)
ミスlead? ミスread? 久作
★内容
いや、びっくりした。起きがけに、ふと19日の朝刊を見たら、途轍もない傲岸な言説
が大きな字で書かれていた。「総括・世界の中心/『周辺』考え続けたい」。うっひゃ
ぁぁぁ。「中心」から「周辺」のこと考え下さるか。俗流朱子学、大学さえも「君は民
を綾(あたら)しうす」ぅぅぅぅ。いや、考えて下さって有り難いやら、迷惑やら。い
っそ、「中心」の方は我々下々のことは、お考えなされず、独りで勝手に滅んでいただ
いた方が、よろしいんですけれども……。

いや、馬琴やら近松ばかり取り上げるのも何なので、片山恭一氏の咄である。愛媛県宇
和島市出身の小説家ってことで、氏には勝手に若干の親近感は抱いてたのだが、「総
括・世界の中心/『周辺』考え続けたい」は無いでしょぉ。氏が世界の中心で云々との
小説で一世を風靡したとは知っている。これでも(近代小説以外の)文字媒体は読んで
いる。「世界の中心」で愛を叫んでいるような御仁が、「周辺」の事を考え続ける?
?? こりゃ全く以て、一国覇権主義(中華思想ともいう)を根底に置いた「周辺」差
別としか読めぬ。即ち、自らを「世界の中心」に置きつつ、思考の対象として、即ち【
客体】として「周辺」を認識するってことに外ならない。何たって、「考え続けたい」
の【目的語】が「周辺」なんだから。これほど物騒な、全体主義的言説は最近さすがに
見かけなかったのだが、ありゃりゃ、こりゃまた困ったモノだ。

文句云ぃの血が騒ぎ、尻尾を掴もうと本文を読んでみた。……あれ??? マトモや
ん。二度ビックリ!

氏は自分の「セカチュー」が人気を博し(過ぎ)たことに面映ゆさを感じていると説き
始める。「ブーム」になっていることに就いての、正直な感覚だろう。続いて自ら描い
た「純愛」に多少の説明を加える。登場人物が「純愛」を発露した動因を、「障害」と
している。ロミオとジュリエットではないが、障害あってこその純愛/激情の発露(【
常識的範疇を超えた言説・感情】)とする。翻って通常日本人の生活感覚は、平穏であ
る。しかし、其の【平穏】は御膳立てされたものであり、【世界全体の真実】とは乖離
している。にも拘わらず、【通常日本人】は、健康で食うに困ってはおらず、【障害】
を排除した【平穏】な世界に安住している。何故に安住していられるかといえば、与え
られた秩序の枠内、【障害】が排除された【平穏】な世界に、偶々留まっていられてい
るからだ。それが一旦、不治の病にでもかかれば、即ち【障害】が惹起されたりすれ
ば、天動説ならぬ地動説、【安穏】な世界が足下から崩壊してしまう。アンノン(族)
を決め込んでいたのに、足下から崩壊するのだ。其処にこそ激情が発し、純愛が生まれ
る。
「ブーム」は「熱狂」とも言い換えられ得るが、氏は「熱狂」を「嫌悪」すべきものと
切り捨てる。何故なら、「熱狂」は、思考停止し、御膳立てされた安穏の中で付和雷同
しているに過ぎないから。氏は、此処から「全体」(原文では括弧付きで表記)なるも
のを批判する。「熱狂」は、何者かに設定された、「全体」(括弧付き)即ち御膳立て
された障害の排除された安穏な世界の範囲のみに於いて思考停止して付和雷同する心性
であると、解き明かされる。
しかし私の見るところ、氏は筆が滑り過ぎている。テロなどの話に繋いでいるのだ。此
の「全体」(括弧付き)が排除する、安穏たる社会に邪魔な障害たる「外部」「周辺」
(共に括弧なし)への「無関心」が、「外部」「周辺」からの復讐、すなわちテロだの
鳥インフルエンザだのを惹起せしめていると、書いちまってる。実は理解できる筆法だ
けれども、ちょいと飛躍が過ぎるだろう。でも、ジャーナルには、「テロ」とか「鳥イ
ンフルエンザ」はオイシイ。だからこそ、此の部分から副題を言い立てたくなったのだ
ろうけれども、はっきり云えば、失敗。せっかく非常に解り易くも良心的な文章なの
に、副題で思いっ切り、自分の良心的な言説を否定しちまってる。非常に勿体ない。例
えば私のような、読みたくないほど糞下らなそうなモノを敢えて読んで、文句を付ける
ことを楽しみとする者以外、こんな傲岸な副題の文章は読まぬ。良心的な人の多くは、
実は良心的な此の文章を熟読せずに、傲岸な文章内容であろうとの印象のみ抱いたか、
はたまた全く読まなんだか。

氏の語る「全体」(括弧付き)は、実は【全体】ではない(だからこその括弧付きなん
だろう)。此の「全体」(括弧付き)は、【全体主義】即ち、思考停止した「熱狂」を
温床とする「全体」(括弧付き)であること、ちょいと気の利いたチューボー以上なら
明らかだろう。義務教育修了者なら、当然の如く了解されねばならぬ。
簡単に云えば、氏の謂う「世界の中心」とは、御膳立てされた【全体主義】的「全体」
(括弧付き)其のものを作り出しているシステム自体に、思考停止したまま身を委ねる
のではなく、逆に、其のシステム自体に疑問を投げかけ自分の頭で考えようとする健全
な「志向性」をこそを立脚点にしている。即ち「世界の中心」とは、宛われた「全体」
(括弧付き)の「中心」を批判的に見詰める自己の「中心」である。ただ権威あるとさ
れる者に盲従して自らも「世界の中心」に連なっていると「熱狂/誤解」することをこ
そ、氏は批判しているとしか読めぬ。当たり前だろう、氏が書いている媒体は新聞であ
り、新聞は義務教育途中でも理解されうるものだというし、プロである氏が特定媒体に
対する筆法を間違う筈もない。何たって、仕事から帰ってワイン一本空けてる劣等生だ
ったオジサン、恐らく十五歳程度のガキの方が読解力があろうが、それでも簡単に読み
解けるほどの論理だ。

にも拘わらず、氏は「総括・世界の中心/『周辺』考え続けたい」と自らの文章を要約
している。なんで、自分の文章を貶め、しかも全く文意を逆転せる要約を付したのか、
理解に苦しむ。いや、嫌みでなく偶々氏の文章を読み感心したから書いてるんだが、全
く以てチンプンカンプンだ(いや漢文なら、もっと簡単だ)。これがまだ、「総括・世
界の中心/周辺で考え続けたい」なら、本義を逸しつつも辛うじて本義に繋がろうが、
「周辺」を対象化し自分の客体と捉えるよう目的語化している真意が、全く分からなか
った。誰か、解る人います??? 私には、馬琴を読む方が簡単なんですが。





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