#2557/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA ) 04/12/14 20:55 ( 24)
本の感想>『赤い霧』 永山
★内容
・『赤い霧』(ポール=アルテ 著/平岡敦 訳 ハヤカワポケットミステリ)
17/6542
カーテンで仕切られた密室状態の空間で、少女達に奇術を披露するための準
備をしていた村の名士が、ナイフで背を刺されて殺される。そこには被害者以
外、誰もいなかったはずなのに。
およそ十年前に起きた不可解な事件を解くべく、男は変装し、名も職業も偽
って故郷の村を訪れた。被害者の弟らの協力を得て、事件を調べる内に、新た
な犠牲者が出る。追い詰められても姿をくらまし、監視の目をくぐり抜けて殺
人をやってのける犯罪者の正体とは。
上記の粗筋は、全体の半分も語っていません。本作は二部構成になっており、
第一部で不可思議な殺人事件の謎が解決されると、第二部ではうってかわって、
大都会を舞台とした活劇めいた展開へ移ります。世界犯罪史上、恐らく最も有
名な凶悪事件に絡ませた形で(ついでに、読者サービスなのか、古今東西で最
も名高い探偵とその助手もちょっぴり登場する)。
読み始めてしばらくは、一度に登場する人物の多さと、話の単調さに、退屈
を覚えるかもしれませんが、それを乗り越えて、新たな殺人が起こる辺りから
俄然、面白くなってきます。もちろん、それよりも前に、伏線はびしばし張っ
てあるので、読み飛ばさぬように。
追記。今年の「このミス」ではなく、「この本格ミステリがすごい」で本書
が海外部門一位に選ばれていたみたいです。
ではでは。