AWC 本の感想>『死が招く』   永山


        
#2547/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  04/12/10  18:28  ( 26)
本の感想>『死が招く』   永山
★内容
・『死が招く』(ポール=アルテ 著/平岡敦 訳 ハヤカワポケットミステリ)
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 その家の主で、推理作家のハロルド=ヴィカーズと思しき男が、密室と化し
た書斎で死んでいた。熱したフライパンに顔と両手を突っ込んだ姿で。室内の
テーブルに並ぶ豪勢な料理の数々からは、湯気が立ち上がっていたが、時間の
点から考えて、できたての料理がそこに存在するはずがない。加えて、窓際に
は、半分だけ水の入ったカップが意味ありげに置かれていた。
 この不可解な状況が、ヴィカーズの構想していたミステリの粗筋と同じだと
分かり、さらにかつて実際に起きた事件にそっくりだということまで判明する
に至って、事態は混迷を深める。
 『第四の扉』に続くツイスト博士シリーズ第二弾。

 こんなばりばりの本格ミステリを書く海外作家が現にいるというだけで、有
り難く思ってしまいます。日本以外でも本格のスピリットは脈々と受け継がれ
ているのだなあ、と。
 ツイスト博士の登場するミステリを読んだのは二作目ですが、妙な付け足し
のあった第一作に比べると、すっきりしている分、こちらの方が私には好み。
より一層フェアだったと感じたし。
 謎の設定もいつも通り魅力的ですが、解決に差し掛かって、若干もたついた
印象を受けました。図の一つでも挿入すれば簡単に済むところを、言葉だけで
説明するものだから、飲み込みづらかった。
 それでも、断片的で別々のことにしか見えなかったピースが、最後に来て大
きな一枚の絵を作る様は、見事な手並み。“フランスのディクスン=カー”の
ニックネームに恥じない、不可能派の期待の旗手と言えましょう。

 ではでは。





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