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★タイトル (AZA ) 04/10/29 19:38 ( 21)
本の感想>『本格ミステリ04』 永山
★内容
・『本格ミステリ04』(本格ミステリ作家クラブ 編 講談社ノベルス)
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ライブハウスからロックバンドのメンバーが消え、射殺体がステージに残っ
た。二重鍵のついた箱から手紙を抜き取る巧妙なロジック。漫才を録音中の密
室で、コンビの片割れが殺され、かつ相方が犯人でないことがあり得るか。地
雷埋設地域で身体の一部を吹き飛ばされた男の死は他殺か etc……。
二〇〇三年に発表された短編ミステリから本格物十一作を選りすぐり、評論
「『ブラッディ・マーダー』/推理小説はクリスティに始まり、後期クイーン
・ボルヘス・エーコ・オースターをどう読むかまで」を加えた、極上の作品集。
嘘偽りなく傑作ぞろいで、順番を付けるのは難しい。それでも敢えて個人的
なベストスリーを選ぶのなら……鳥飼否宇「廃虚と青空」、芦辺拓「78回転
の密室」、青木知己「Y駅発深夜バス」になるかな。これらと同じくらいよか
ったのが、東川篤哉「霧ヶ峰涼の屈辱」と松尾由美「走る目覚まし時計の問題」
だと思う。前者は、より簡単な仮説を全く取り上げていない点、後者は、ある
物を密室から持ち出してまた戻す方法に触れていない点が、それぞれ不満だっ
たものの、アクロバティックなロジックは素晴らしかった。
評論の方は、『ブラッディ・マーダー』の翻訳ミスに対する非難になってい
るが、確かに頷ける指摘だけに、嫌な感じはしない。
ではでは。