AWC “これも「顔」あれも「顔」多分「顔」きっと「顔」”   永山


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#2308/3613 ◇フレッシュボイス2
★タイトル (AZA     )  22/08/08  17:37  ( 29)
“これも「顔」あれも「顔」多分「顔」きっと「顔」”   永山
★内容
 スカパー!開放を利してホームドラマチャンネルで放送の松本清張ドラマ「顔」(二
〇一三年版)を録画視聴。ネタバレ注意です。
 「顔」の映像化は十回以上を数えるらしく、未見のバージョンがまだたくさんあるな
ぁ。今回視聴できた分も初見です。どれも少しずつ違いがあるように感じられ、興味深
い。
 不安だったのが、主演の松雪泰子。この女優さんが悪いって訳じゃないんでしょうけ
ど、声がとにかく聞き取りづらい。流れるような長台詞も短い返事も、紙の擦れるよう
な音がシュルシュルと上滑りしている風に聞こえる。
 で、その懸念は不幸にして的中してしまう(^^;のですが、それでもまあ、九年前の作
品であるおかげなのか、今に比べたら聞ける声だったので、何とか視聴できた(字幕は
機能しない仕様でした)。
 話の方は、女優での成功を志すヒロインが、かつて犯した殺人に絡んで目撃されてお
り、有名になればなるほど捕まるリスクが高まるというスリル・サスペンスを扱ったも
の。時代設定は昭和二十二年から三十一年にかけて。
 ヒロインは最初の内は警戒して、あまり顔を知られることがないであろう舞台俳優か
ら始める。やがて巡ってきたチャンス――映画で台詞付きのちょい役――を(さして躊
躇うこともなく)引き受ける。やがて封切りになるが、ヒロインが思っていたほど自身
の顔は知られる実感はなく、ある意味ほっとするとともに、以後、より大胆になって行
く。人気絶頂の男優に気に入られるために関係を持ち、ついに映画のヒロインの座を射
止める……という流れなのですが、「顔」を観て毎回思うのは、ヒロインの心情にいま
いちうなずけないこと。目撃されているのなら映画出演なんて勝負に出られないのが普
通であり、勝負に出るなら出るでその一歩踏み出す決め手のエピソードが欲しい。確か
に主人公は苦しい人生を送ってきており、女優としての逆転に賭けようとするのは伝わ
ってくるのですが、やはり一押しがあってしかるべきなんじゃないかと。
 尤も、私がこう感じるのは、「顔」に接するより先に、“ヒロインがチャンスをみす
みす逃したのは何故?→過去に起こした犯罪で目撃されていたから”という逆パターン
の物語を読んだというのが大きいのかもしれません。

 ではでは。





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