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★タイトル (AZA ) 12/02/14 20:56 ( 59)
漫画の感想>『ゲームの館殺人事件』 永山
★内容
・『金田一少年の事件簿 ゲームの館殺人事件』
(天樹征丸 原作/さとうふみや 画 講談社コミックスマガジン)
※ネタバレ注意
金田一の推理を全て受け入れた上で、揚げ足取りというか、犯人の計画で変
な点等を列挙してみます。
・当初、犯人の計画に、金田一と美雪を参加させることは入っていなかった。
ならば、最初のゲームで用いられた被り物は、どうやって調達したのか。予備
を二つも用意していたのか、急いで作ったのか。作ったのならサイズを合わせ
るのが大変だったんじゃないか。
・金田一が第一の部屋を脱出した直後、宝樹の台詞に「クイズがどれもこれも
簡単だった」という趣旨の言葉がある。最初に脱出した宝樹が、何故、全ての
クイズが簡単だったと知っているのか。あとから脱出してきた人全員に、いち
いち尋ねたのか。命を奪いかねない被り物を鍵で外す作業をしている最中に?
・第一の部屋で、霜村母が金田一に助けを求めた方法で、もしも脱出に成功し
てていたら、犯人はどうするつもりだったんか、殺害はいずれ成功するにして
も、被り物に仕掛けがあることはすぐに発覚し、犯人の標的が霜村母であるこ
とが露見してしまう。
・そもそも、霜村母は、自分には全く解けない難問を、息子がいとも簡単に解
いて脱出したことを変だと思わなかったのか。
・被り物のデザインはアイパッチをしているが、実際に片目しか見えないんだ
としたら、危なくてしょうがない。アイパッチ側にも穴が開いていることにし
ても、レンズの仕掛けをいじれば何ら問題ないのでは。
・第二の部屋、急遽参加した金田一と美雪の二人がもしも知恵の輪が苦手なら、
犯人はどうする気だったのか。死んでもかまわない、だったのか。
・第三の部屋で、毒入りカップラーメンに鍵を入れておかなかった理由がおか
しい。犯人のミスだの油断だのではなく、入れない方がどうかしている。
・犯人は梢が辛い物が苦手ということを知っていてしかるべきなのに、激辛ラ
ーメンばかり用意している。梢には絶対に毒入りを食べさせられないのだから、
激辛ではないラーメンも一つは用意しておくのが当然ではないか。
・だいたい、梢を殺人ゲームに参加させる意味が分からない。アリバイ確保な
ら、どこか遠くへ旅行でもさせればいい。参加させることで死ぬ危険が出て来
る。少なくとも、第四の部屋の謎を解いてしまう可能性があったはず。
・第四の部屋、エチケット=絵チケットじゃなくて、そっちか〜(笑)。それ
はともかく、酒嫌いだからワインの知識がない、という判断は乱暴に過ぎる。
特にゲームプログラマーのような職業の人は、ゲーム作りのために色々な雑学
を有している可能性が大きいのではないか(ゲームプログラマーが、プログラ
ムを組むだけなら話は違ってくるけど)。
とまあ、多くの変な点が指摘できるのですが、それでもなお(というか不満
点は棚上げして)、本作の試みやトリックには高い評価を与えます。ハイテク
利用のトリックはやや練り込み不足で、他の人に使われない内に使ってしまお
うという感じがしないでもないが、とにかく初物を編み出したことが○。
試みについては、閉鎖空間に複数人を閉じ込めて殺人ゲームを行うという、
近年よくある設定に、真っ当な理由付けを曲がりなりにもしたことを評価。も
ちろん、わざわざ凝った舞台を用意しなくても通り魔か居直り強盗に見せ掛け
て殺した方がばれにくいという見方もできますが、それはトリック重視ミステ
リの大半について回る問題だから、しょうがない(汗)。
ではでは。