AWC 読了>紅さんの『月のない夜でさえも』   永山


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#3032/9229 ◇フレッシュボイス過去ログ
★タイトル (AZA     )  05/08/28  01:52  (103)
読了>紅さんの『月のない夜でさえも』   永山
★内容
 それでは、作者本人の了解がありましたので、他のサイトの作品ではありま
すが、読了コメントをUPします。URLは記さしなくていいのかしらん?

※ネタバレ注意! 内容に触れています。作品を未読の方はご注意ください

 まず、気になった箇所を挙げておきます。
 ここで言う「気になった」とは、普通に読んでいて、読むのが一瞬止まった
という風な意味で、誤字脱字の類が主です。
 それから、AWC作品を取り上げる場合は、本文を引用して書くのですが、
今回は他サイトの作品なので、章の明記と必要最小限の引用にとどめます。

<エピローグ>
・「締め付けれた」→「締め付けられた」

<春の芽>
1・「ため息を吐きつつ」「息をついてから」→「吐く」「つく」表記揺れ
 ・「笑われているにも関わらず」→「笑われているにも拘わらず」
 ・凛音の視点(三人称)だったのが、途中から「私」の視点(一人称)で描
 写され、気になります【※他の章でも見受けられましたし、詳しくは後述】
 ・「再びイチョウの木に寄りかかり」とありますが、これより前の段階で、
 月がどのような姿勢を取っていたのかの描写がないため、しっくり来ません
2・「目をおおっぴろげながら」→「目をおっぴろげながら」?
 ・「額ををぴくぴく」→「を」一つ余分
4・バスケのシーンで、「松野」とすべき箇所が「大木」になってます

<水と肥料>
1・「横向きに体制を直して」→「横向きに体勢を直して」
 ・「そういった不の感情」→「そういった負の感情」
2・「さり気に」「何気に」という表現は一般的でないと思います。個人的に
 は台詞ではOK、地の文では原則として避けるようにしてます
 ・凛音は箸とフォークを同時に使って弁当を食べる? 今時はそれが普通な
 のでしょうか
 ・「以外に素直ね」→「意外に素直ね」
3・「方頬を引きつらせながら」→「片頬を引きつらせながら」
 ・「発音が聞きにくい」→「発音が聞き取りにくい」が一般的かと思います
 ・月が凛音の弁当を食べる場面、「松野」とすべき箇所が「大木」に
 ・「自分のメリットを追及する」→「自分のメリットを追求する」では?
 ・「裏庭描いてやるって約束したじゃない」とあるけど、月は「裏庭で描い
 てやる」と言っただけで、裏庭を描くかどうかはまだ分からないのでは……
 ・「投げやりのように凛音をあしらう」の意味が? このままだと、“投げ
 槍”のごとく凛音をあしらったことになりかねず。「投げやりに凛音をあし
 らう」なら分かります
 ・「部活のある生徒以外は既に校内には誰もいない」って、先生は?(笑)
5・「それ以上追求せずに」→「それ以上追及せずに」
 ・月が凛音を駅まで引っ張ってきたシーンで、「松野」とすべき箇所が一部、
 「大木」になってます

<紅き夜>
2・「心配と同意味よ」→「同意味」というのはちょっと馴染みのない表現。
 「心配と同じ意味」か「心配と同義語よ」辺りでどうでしょう
 ・「例え、永遠なんて」→この場合の「たとえ」を漢字で書くなら縦令か仮令

 それから、「凛」の字は、2004年9月から人名漢字に採用されたようで
す。これに厳密に従うなら、凛音は2004年9月以降に生まれたことになり、
当然、本作の舞台も凛音が高校に入った2020年頃の話になります。
 本作が該当するかどうかは分かりませんが、年月日の整合性に拘って物語を
作るときには、この辺りにも一応のご注意を、ということで。

 もう一点。月は1−Bの生徒ですが、首席で入った生徒は普通、1−A(一
番目のクラス)に編入されることが多いと聞いた覚えがあるので、ちょっぴり
違和感がありました。

 視点、描写について。
 描写する視点の揺れは、ともすれば読者を混乱に陥れ、いらいらさせます。
と言っても、作品を通してずっと一つの視点で描かねばならない訳ではなく。
推理作家の佐野洋は、「一シーン一視点」の原則――一つの場面では一つの視
点に固定して描写する――を提唱しており、実際、多くの作家がこの原則通り
の小説を書いてきていると思います。
 なお、本作で「私」と「凛音」は同じ人物ですが、前者は一人称、後者は三
人称だから、異なる視点になります。言わずもがなと思いますが、念のため。
 その上で、本作はどういった視点を取ればいいのか、私なりの意見をば。最
初に凛音というキャラクターをぽんと出しておいて、次の章から、読者と主人
公(ですよね?)との距離を縮める・共感しやすくするという意味で、<エピ
ローグ>は凛音のままで、それ以降は「私」に統一するのがいいかも。
 あるいは、挿入される短いモノローグのみ「私」を用い、他は凛音に統一す
る手もあるかな。心理の動きに重きを置くなら、これが効果的かもしれない。
 もちろん、これで正解!というのはなくて、作者が自身の考えに基づき、物
語の面白さを最大に引き出せる視点・描写方法を選択するのが肝心。


 続いて、内容について。
 物語の世界観には共感できます。自分も、もっと甘めですが学園物(昔の少
女漫画を参考にしたから少女物?)を書いたことがありますし、好きなタイプ
の話です。
 今後、凛音と月それぞれが背負っている物が軸となって展開し、怒涛のクラ
イマックスになだれ込むのでしょうか? 楽しみです。

 注文を出すと、凛音の家庭状況の説明が、かなり唐突に感じました。できれ
ば、前段階で伏線を小出しにして、読者にある程度の予想をさせるのがいいか
も。読者の裏をかくことも大事だけど、予想して当ててもらって、喜ばせるこ
とも必要だと思いますので。
 考えられる伏線は……学校が楽しくてしょうがないとか、家に帰りたくない、
特に運動をした訳でもないのに肘に擦り傷ができてる(喧嘩を止めようとした
際に負った)、インスタントの食事が多い、等々。
 あ、インスタントの食事で思い出しましたが、この家庭状況で、母親が月の
分まで弁当を作ったというのは、少し意外。母親に作る気があっても、父親の
存在故、一悶着あってしかるべきのような。

 色々と書きましたが、期待してます。小説の執筆を始めて正味三ヶ月で、こ
こまで書けるのは大したものと思うし、好きでないとできないでしょう。これ
からも書き続けていってくださいね。

 ではでは。あと、しつこいけど、こっちにもUPしてほしい〜。





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