連載 #4633の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
−−「モーラッド」 「モーラッド」は横倒しに近い形で地面に着いた。さっきまで右舷側の壁だ った部分が床になっていた。狭い艦橋ではどうということはなかったが、右舷 と左舷とをつなぐ通路の行き来がほぼ不可能になっていた。 モーマー砲術長は意気盛んで、陸戦隊を組織して敵艦への突入を試みようと していた。それをブログナ副長が渋い顔で押し留めた。「そんなことをしても 無駄です。それこそ戦士の誇りに関わりますよ。我々は負けたんです。かくな る上は潔く降伏しましょう」 「馬鹿な! 連中の艦を奪い、脱出するのだ。こんな目にあって降伏など出来 るか」 モーマー砲術長はそう吐き捨て、乗組員に武器を持たせるよう指示を下して いった。 「艦長!」たまらず、ブログナ副長はジラーティ艦長のほうを向いた。 −−「ガンブレイズ」 乗組員達は、全員が戦々恐々としていた。当然だ。「ガンブレイズ」は空兵 は乗せていない。逆に相手は、接舷斬り込みによる輸送船の奪取を任務の一部 に含めていただろうから、専門の空兵を乗せているに違いない(それは事実だ った)。 エイバー見張り員は弓銃を手に露天に出て、敵の斬り込みに備えていた。心 の中には絶望感しかない。 だが、彼の心とは裏腹に、「モーラッド」の船腹に開いた穴から武装した兵 士が現れ、突撃して来る。 「来るか……?」 だが、彼等は途中で急にその足を止め、元来たほうへと引き返していく。 「なんだぁ?」 彼が茫然としていると、空から何か音が聞こえてきた。空を見上げる。 「何か、いる……?」 それとほぼ同時に、その物体から眩しい光が地上に降り注いだ。その影によ り、正体が明らかになる。 サバリアス皇国風軍飛行戦艦「エーブレイム」だった。風軍は戦艦まで駆り 出し、通商破壊艦を撃破しようと考えていたのだった。 −−「モーラッド」 「艦長……」 モーマー砲術長がうなだれる。 「早目に引き上げたのは正解だったな」 ジラーティ艦長は穏やかな口調で言った。それから彼は周囲の要員達を見回 した。 「我々の負けだ。だが、軍人としての誇りだけは失う訳にはいかない」 そう言って彼は、艦内装備を破壊して、武器を放棄するよう命じた。抵抗の 意思さえ示さなければ、未だに騎士道精神を重んじるサバリアス軍は彼等を半 ば英雄として扱うであろうと、ジラーティ艦長は予想していた。そしてその予 想は完全に的中していた。彼等は戦争終了までサバリアス領内に捕らえられた が、彼は後々までもその高い指揮能力を語り継がれることとなった。 −−「ガンブレイズ」 「勝った……のか」 ベイラー先任士官が呟く。 「まあ、最後は『エーブレイム』に助けられたがな」 そう言ってラモナーグ艦長が鼻を鳴らす。 「エーブレイム」が高度を下げ、その備砲を「モーラッド」に振り向けてい るのが見えた。 「さぁ、戦争が終わった訳じゃないぞ!」 激戦の終結によって虚脱している要員達のほうに振り向き、ラモナーグ艦長 が声を張り上げた。 確かに、彼の言う通りだった。停戦にはこれから二年の歳月が必要だった。 そしてその時までには、「ガンブレイズ」の元乗組員の大多数は戦死していた。 (おわり) <習作> ・−−−−−−−−−−−−−・ |ジョアン王女のお話・旅路編| ・−−−−−−−−−−−−−・ むかしむかしあるところに、ジョアンという、美しく、聡明で、そしてとて も勇敢な王女様がいました。 ある時王女様は、世界中の王様達が一堂に会する会議に出席するため、領内 をわずかな供を連れて旅をしていました。 その途中で、王女様は一軒の茶店に立ち寄りました。そこはお婆さんと、そ の孫の少年が二人で切り盛りしていました。 少年は突然現れた客が王女様であることを知って大変驚きましたが、注文さ れるままに店の自慢である水菓子を出しました。 それを大変気に入られた王女様は、「しばらくの間、私の旅の供をして下さ い」と言って、一両の立派な馬車に、お婆さんと少年を乗せました。 普段なら触ることすら出来ない立派な馬車に乗った少年は大喜びです。立ち 寄る宿場町のあちこちで、このお婆さんと少年の話はたちまち噂になりました。 領内の端にまで来たところで、お婆さんと少年は沢山の黄月砂や珍しい宝物 をお土産に渡され、茶屋に帰りました。 その話を伝え聞いた、世界各地の商売人達は、こぞってこの街道に店を出し たそうです。いつか自分もひょっとしたら、との浅ましい考えなのでしょうが、 そのおかげでこの街道は大いに繁栄するようになったとの事です。賢明なる王 女様、商売人の物欲を巧みに利用して、自国を栄えさせたものに違いありませ ん。 <習作> ・−−−−−−−−−−−−−・ |ジョアン王女のお話・仕官編| ・−−−−−−−−−−−−−・ むかしむかしあるところに、ジョアンという、美しく、聡明で、そしてとて も勇敢な王女様がいました。 ある日、彼女の元に、三人の騎士が仕官を求めて参内しました。三人を謁見 の間に迎えた王女様は、「あなたは何が出来ますか?」と問いかけられました。 一人目の騎士は、自信たっぷりに、「あれもこれも、なんでもやってみせま す」と答えました。 二人目の騎士は、一人目の騎士に負けじと、「私に出来ないものはありませ ん」と答えました。 ところが、三人目の騎士は黙ったままです。 不思議に思われた王女様は、「あなたはどうです?」と優しく聞かれました。 三人目の騎士は悲しそうに、「私は何も出来ません」と答えました。 王女様がその訳を尋ねると、三人目の騎士は、「私は何も出来ません。ここ にいる二人が先に全部取ってしまいましたから」と言いました。 その機転の利いた答えに感心した王女様は、三人目の騎士を取り立てました。 賢明なる王女様は、むやみに自分を高く見せようとする者よりも、彼等を利用 して自分の才智を示したこの騎士の才能を見抜いたものに違いありません。 ・−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−・ |コラム・「魔剣グライアムと英雄クリバック」 | | 救世英雄伝において「闇色の戦狼」との異名を持つ魔剣士・| |クリバックは、金の魔神を封印した後も修行の旅を続け、いく| |つもの伝説を残した。その旅の途中、メイネス王国(当時)に| |おいて、ある軍使(詳細は不明)の役目を果たし、王国の秘宝| |である一振りの剣を授かったという。それが魔剣グライアムで| |ある。 | | 輝光石(あるいは月水晶か)製のグライアムは本来、無色透| |明であるが、人を斬る度にその血を吸って赤く染まっていき、| |ついには完全な闇色になり、どんな敵でも一撃で倒す無敵の剣| |になると伝えられる。さらには、吸った血の持ち主の魔道力を| |吸収し、剣の所有者を魔道の攻撃から守るという力も持ってい| |る。ただし、剣の持ち主が変わる度に、元の透明に戻ってしま| |う。 | | 石が血を吸う、という感覚は現代の我々にはなんとも奇妙に| |思えるが、南バルメディ連邦国に伝わる風色の少女の伝説には| |輝光石によって龍と血の契約を交わすという描写もあり、それ| |ほど不可解な話ではなかったようである。 | | それはともかく、クリバックはその後グライアムの力を知る| |べく進んで戦いに赴くようになる。そして、ついには英雄戦争| |と呼ばれる戦いでかつての仲間、魔道騎士・レブノスと差し違| |えて果てるのである。 | | 現在ではグライアムの名は、ランディール帝国空軍の主力戦| |闘爆撃機に付けられている。 | ・−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−・ おわりに −−うち文は死んでも直らない 筆者が神戸商科大学に入学し、文芸部員となってから間もなく丸三年になろ うとしている。その三年間のなかで、筆者と彷徨君は様々な計画を企ててきた。 その多くはその場限りで忘れ去られてしまったが、中には「羊の皮」のように、 どういう訳か日の目を見てしまった企みも存在する。 しかしなんといっても、最も大規模な企みとなったのが、「うち文」計画で あろう。この計画が始まってから一年以上たつが、未だに具体的な成果があが るでもなく、かといって立ち消えになるでもなく(どうしようもなくそれに近 い状況にはなったが)現在まで継続されている。 残念ながら在学中に計画を完了するのが困難になってきた状況の今、「一年 早くこの計画が開始されていたら」との思いを禁じ得ない。大学生活四年間は 短い。我等が文芸部の現一回生諸君には悔いの無きよう、形にしておきたいも のは全て出してしまって欲しいと思う。もっとも筆者も一回生の時には、「四 年間もネタが持つか」が心配事だったことを考えると、このアドバイスが届く とは考えにくいが。 かつて彷徨君は私に「****の芸能生活の最大の汚点は、***の『** *****』のオープニング・テーマを歌っていたことだよ」と教えてくれた。 今はうち文計画が、我々だけでなく文芸部全体にとっての最大の汚点とならぬ よう、祈るばかりである。 「大きなことを言っていた割にこの程度か」と言われるのを恐れてか、いつ までたっても本編に入りそうもないが、今回でとりあえずの土台は出来たと考 えている。この一年間で得たささやかな成果が、この中には詰まっているので、 どうか暖かい目で見てやって欲しい。そして、物語の創作について何らかの関 心を持ち、「自分でも何か話を作ってみたい」と思ってくださるなら、これに 勝る喜びはない。 次回予告をここで明言するのは困難である。来春にでも時間的余裕があれば ……、といった雰囲気である。それでも、何とか「本編完成」の報をどこかで 伝えたいと思っている。それが授賞するかどうかなどは、この際全く関係がな いだろう。(編集・島津義家) −−終わり.うち文7に続く
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