短編 #0264の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
契約の箱が置かれる場所は、信者席より一段高くなっている。その祭壇に向かって左 、オルガン席の壁に、2Mはあろうかという大きな絵が掛けられていた。 右の壁にも対となるなんらかの絵が掛けられていた筈なのだが、思い出せない。 とにかく、阿吽の仁王像の様に二枚の絵が掛けられていた。 空は曇っている。嵐の予感がある。 左側は切り立った崖になっている。むき出しの岩。 中央に、天使が立っている。 彼は、(そう天使に性別はないけれども)青銅の鎧を着けている。背中の大きな翼さ え、青銅でおおわれているのだった。 むきだしの頭は金髪だったろうか。いや、夕焼けのようなオレンジだったかもしれな い。 片手には抜き身のままの長剣を下げている。青銅の。 彼は、破邪の大天使、聖ミカエルだった。 まだ幼かった僕は、自分と同じ名前を持つ、偉大な大天使を眺めている。 母が付けた僕の洗礼名はミカエルと言う。 高い天井、水底のように冷たい空気。色褪せた聖画、自分よりはるかに大きい、自分 と同じ名前の大天使。 今、同じ場所に立ってもそこに天使はいない。 白い、冷たい石膏の聖母子像が立っている。あれから何年たっただろうか。 自分のことで精一杯だった何年かの時期。そのあいだに天使はいなくなった。 けれど、世間一般の日本人のような、天使のイメージは未だに僕は持てない。エロス の姿をした天使や、かわいらしい少年少女の顔を持つ天使は僕の中には存在しない。 僕の天使はあの教会の、失われてしまったあの大天使。空虚ささえ感じられる、あの 表情の、彼だけが僕の永遠の天使である。 ......
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「短編」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE