短編 #0167の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
●謎の後続車両● 夜の福岡都市高速を走っていた。カーステレオからは、ジョージ =ベンソン。前面には一台の車両もない。まるで貸しきりの道路だ。 ヘッドライトが闇を斬り裂いて走る。 東浜の合流地点のあたりから、一台の後続車が現れる。車間距離 を保ちつつ律儀に後続してくる。穏便なドライバーが運転する車と 見た。ミラーに映るその車のヘッドライトが、まぶしかったという わけではないのだがだが、がらがらの道路を独りで走りたいのだ。 アクセルを踏み込む。後続車は、一瞬引き離されるが相変わらず 距離を維持したまま後続してくる。かといって追い越す気はないら しい。妙な野郎だ。そんなら振り切っちゃる。さらにアクセルを踏 み込む。マツダKF-ZE液冷式V型6気筒DOHC24バルブ発動機が、 即座に感応し、速度計がたちどころに時速90キロに近付く。 その時、追尾してくる謎の車両は、ヘッドランプをハイビーム点 滅を繰り返し、パッシング態勢を見せた。道路はがらがらだ。追い 越したいなら、自分で車線変更して勝手に行くがよかろう。なんち ゅーやつだ!撃滅してやる。さらに増速せんとすると、謎の車両は、 やにわに赤色灯を点滅させ、同時に車載のスピーカーで、「路側帯 に停車せよ」とわめきはじめた。 なんちゅーことか。謎の車両は、福岡県が誇る交通秩序維持の法 の執行者、交通機動隊の車両だったのである。パッシングと思った のは、カーステレオがんがんかけていて、なかなか気が付かないわ が車両に対する停車命令だったのだ。 ●福岡都市高速は、福岡都市60キロ● 僕は、路側帯に停車して下車し、彼らの車両の後部座席へ移動。 そこで交通法規に違反した内容の事実確認が行われた。 「ここは、速度60キロ規制です。高速道路ではありませんよ」 「福岡都市高速の利用料金なら510円払っていますけど」 すっとぼけても無益である。 「都市高速は高速道路ではないのです。あなたは制限速度を超え る時速87キロで走行していました。これが計測の数値です。27 キロオーバーということになります」 反証できる材料はないし、速度について争う点もない。確かにそ のくらいは出していたはずだ。車載のアルミ粉末噴射で敵方の速度 計測レーダーを誤作動させたり、レーダー照射に感応して妨害電波 を輻射する装備もなければ、自車の移動位置と速度を記録する衛星 航跡記録装置も装備していない普通車両なので相手の計測結果にい ちゃもんをつける反証材料もない。 「反則金は18000円になります」 「けっこう高いですね」 「高いです」 ●去り行く18000円● あー18000円かあ、痛いなあ。家に帰ってから、通称青切符 の裏を眺めながら、去り行くお金のことを考えていたら、切符の裏 側にこんな意味のことが書いてあった。 《交通反則金を払う、払わないはあなたの任意です》 これは、任意だったのか。うすうす聞いてはいたが、払わないで 済む方法があるのだ。さっそく翌日、交通反則通告センターに電話 して、その方法を教えてもらった。 簡単に言えば「交通反則金」を支払うことは、交通法規を犯して しまった人間は、本当は《処罰》されなければならないところを、 みなさんいろいろと大変なので。お金を払うことによって、穏便に 済ませてあげましょう。そんなことなのです。 ●進んで罰を受けよう● 『自分が犯した交通違反行為について、お金でお手軽に解決する なんて、あまりにも安直すぎる気がする。二度と違反を繰り返さな いためには、反則ではなく進んで処罰を受けたい』 こう申し出て、いろいろ聞いてみましたが、検討の結果、あまり にいろいろな新しい悩みが出てきそうなので、そげなリスクを背負 うくらいやったら、反則金の仮納付(18000円)払った方が、 はるかに楽である。という結論にあらためて達した。 起訴されて裁判されて(争う余地がないので、即座に判決が出て、 罰金刑か労役に服する)、労役だと日当5000円なので、罰金相 当額を払うには、数日どこかで強制労働しないとならないらしい。 それは泊まりになるかどうかわからないし。第一、会社にはその刑 に服する期間、休暇を申請できるのだろうか。刑事罰を負うので、 就業規則に従い、懲戒の対象になるかも知れない。休暇などは認め られず停職あつかいにされて、給料が減るかも知れない。なにより も交通犯罪の前科がつくだろうから、次に交通犯罪で第一当事者 (加害者)になった場合、情状酌量はなく、ただちに厳罰か実刑が 科されてしまう。 ●感涙にむせびつつ反則金を仮納付せよ● 本来ならこういう罰や、社会的な信用失墜に耐えないとならない ところを、これが、お金を支払うだけで、刑事処分や労役から解放 されるのである。それが、反則金の仮納付だったわけです。180 00円が惜しいなどとわめくやつの気が知れない。なんというあり がたい制度でありましょうか。私はうれし涙にむせびつつ、喜んで 18000円を支払って来ます。ああ、許しがたい交通違反者を慈 悲の心で自費18000円を納めるだけで刑罰から勘弁していただ くとは、なんという幸せ。 この幸せを、一人でも多くの方々とわかちあいたい。今は、過ぎ 去りし自らの交通違反行為の非を悔いつつ、かように思っている次 第です。
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