短編 #0147の修正
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静かな南の海のただ中 海面からビルディングが幾本か突き出している 遥か昔 巨大都市であったものはその海の底 遠目に見れば墓標にも見えるが どのビルの壁にも 蔦がからまり樹木が生い茂り あたたかくおだやかな波が打ち寄せて 何槽かの手漕ぎの小舟を揺らし わずかに残された人間達をまだ生かしている いつから彼らがここでこの様な生活をしているのか誰も知らない 彼らは既に文字を失い 言葉さえも無くそうとしている 毎日ただ魚を捕りそれを喰い しけの日には空腹を抱え身を寄せ合い 嵐の過ぎるのをじっと待つ 血の濃くなりすぎた脆弱な一握りの人という種だった アエネという女がいた 彼女はダムイという男に恋をしていた ダムイのほうもまんざらでもないようで 最近では大きな魚をさりげなく彼女に回してくれることもある ダムイは一番の素潜り名人だった 彼はアエネより2つ年下で彼女の異父弟にあたる ある日 男たちは漁から帰ると獲物の分配もそこそこに 長のところへ集まった ダムイが漁場の底のビルの階で珍しいものを見つけてきたのだ 彼がうやうやしく長に手渡した物は手の平大の白い四角い箱だった 長はその箱をしばらくながめてからあちこち触りはじめた 押したり引っ張ったりねじったり においを嗅いだりかじったり 結局なにも起こらないので長は この箱はつまらないただの箱だと結論し ポイと投げ捨てた カララと床を転がった箱からみんなの興味が獲物の分配に移った時 アエネは箱を手に取り触ってみた 突然アエネの手の中で箱のふたが2つに開き 中で赤青の小さなあかりが点いた アエネはおどろいて箱を放り出しダムイの所へ走り寄った 箱のふたは左右に開き カリカリと小さな音をたてていた みんなが なにが起こったのかと仕事の手を休めたとき 箱は音楽を流し始めた みんなその音におびえた 初めて聴く音だった はじめはゆっくりと そしてだんだんとはやく ひとつの音からたくさんの音へ うねる様に流れほとばしった 色々な音が色々な高さで響きはじめ みんなの耳を震わせた そしてみんな思い出していた はじめての音じゃない 知っている それを表す言葉はわからないが 俺達はそれを知っている 体が動き出す 声がでる 手足をふりたくなる なんだろうこの感覚は 強いて言えば 怒りに似ている でも何が憎い訳じゃない 体の中から湧き出す力がそれに似ているだけで 腹が立ってくる訳じゃない なんだか とても楽しい どんどん力が出てくる 隣の人と手をつなぎたくなる 抱き合いたくなる 飛び跳ねたくなる みんながそう思った アエネもダムイも手を取り抱き合い踊った その残された人々は音楽に合わせ踊りながら思った この音は俺達が創った物だ もともと俺達の中にあった物だ 俺達だってまだまだ捨てたもんじゃない 俺達の中にはまだいろんな力がある もっといっぱい喰って もっといっぱい創って もっといっぱい増えてやる またいつか じいさんのじいさんのじいさんに聞いた話みたいに 空を飛んで 星にだって行ってやる アエネは想った わたしだって まだまだ若いんだから あと二人や三人は ちゃんと育つ子を産めるんだから そして 艶っぽい目をダムイに向けた みずち
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