空中分解2 #3019の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
その2 ぼんやりバスを待ている二人の肩越しに優しげにそよ風が通り抜けると、春 の息吹に二人ともすっかり夢見心地で、、、、、。そんな夢見るような早春の 季節に若葉のような恋をしてみたい!、あなたはそっと彼の横顔をのぞき込ん でいることでしょう。だけど、ほんの少しだけ彼の横顔はこわばっているよう にあなたには感じられます。 「ごめんなさい、、、。」そう、なんとなく切り出してみましょう。 「え、?」「さっきのこと、、、ぶつかった時ね、、、。」 「ああ、、」「あの時に、、、、。」 「指輪だろ、、、。」「うん。ごめんなさい、、、、、。」 「、、、、。」「婚約指輪なの、、、、。」 「、、、、。」 重たすぎる沈黙が二人の肩と肩とを必要以上に寄せ合わせて、慰め合いたい気 分になってゆきます。もう、それ以上、肩越しに言葉はいりませんでした。二 人には忘れられない小さな想い出がありました。きっとそれだけで互いに許し 合えるような気がしています。甘えん坊な小さな想い出。だから許しあえるよ うな気に、、、想い出が二人だけの風景を、、、、、だから解りあえるはず! 想い出を、愛を見つけた場所を、これから二人で尋ねてみるのだから、、、、。 バスの中では、二人はなんとなく仲直りをしたい気分。もうお互いに目と目で 解り合っているのですから、、、(ミッちゃんは、たぶん結婚する気なんかな いんだよ!。きっと、、、)(ひろし君、、、たぶんまだ想っていてくれてる! ぜったいに、、、)二人に心はちぐはぐに交差して、ときどき視線が行き交い ます。でも、心だけは会ったその時から、もう離れられない想いで一杯です!。 二人の想いは何処にも逃げ場を失って、バスの椅子越しに唇が重なり会いま す。しっかりと肩を抱かれながら、あなたは、、、目をつぶって、、、?!。 幸せってこういう瞬間!?待ち遠しいだけの、そんな恋は、あなたには辛すぎ ましたね。もう、待たされない、待ちたくない、、、。そう!、あなたは彼を 待たせすぎていたのですよ!。 バスは二人を乗せて、どんどん街を離れて行きます。ひろし君の大きな胸に 顔をうずめると、いろんな事、いままで待ち続けていた時間を感じます。窓の 外、春色の風景をぼんやりと眺めながら、きっとあなたは本当の愛に気がつい ているはずですよ。 バスは小高い丘をゆっくりと昇って行きます。丘のすぐ向こうに、ほら!! あなたの産まれた小さな家が、お花でいっぱいの庭先が遠くに見え隠れし始め ます。 バスを降りると、辺り一面から土の臭いがしてきます。ながいながい冬眠か ら草花が元気良く目を覚まし始めます。空気がとっても美味しいですね!。 「きれいな庭のままだね!。」ひろし君が指さします。あなたはこっくりと首 をひろし君の肩に傾けながら、すっかり大きくなった杉の木に目をやりましょ う。 「みて、、、こんなに大きくなったのね!。」 「ああ、、、。懐かしいね、、、覚えてるだろ?。」 「うん、、、。クリスマスに、、、」「あの木のてっぺんに星つけたよな!。」 「ねえ、たのんだら、、、今でも肩車してくれる?。ほら、、、昔みたいに、、。」「 肩車?、、、してやろうか?、、、」 「そうね、、、、でも、今のは冗談よ!、だって、、もうあんなに高くなっちゃって、 、、もう、届かないね、、、」 クリスマスの飾り付けをした日の思い出、、、そう、あの頃、二人は小学5年 生だったのですね。そうして長い冬が終って、あなたは転校したのですね。ひ ろし君との別れに胸を痛めながら、、、、。 「そうだ!、、写真、撮ろうよ!。」 「あの木の下で?」 「そうさ!!。」 「人のうちの庭だわ!。よそうよ!。」 「かまうもんか!!。」 そんな二人を、杉の小枝は新緑の若葉をサラサラそよ風に揺らしながら微笑ん でいる様子!。木の幹は、その大きな木陰で温かく二人を包みます。 「ねえ、昔のままね!、、、あの草はらも、あの木立も、、、。」 そうですね。あの頃と少しも変わっていませんね。あなたの心さえも変えては いないようですよ。素直なままの素敵なあなた!。 「この辺を少し歩かない?、、、」 荷物を公園のベンチに置いて、二人は手をつなぎながら野原へ、、、とても広 くて、ずう〜っと、ずう〜っと向こうまで地平線が横たわっています。なんだ か二人の共通の未来を眺めているような、幸せで、そんな気分になるようです。 草かげにキュルル、キュルルと歌うような優しい声が聴こえてきます。バス ケットの中が、どうやらまた、ごそごそし始めてきた様子ですよ。あなたは、 ほら!!、、のんびりと散歩をしていていいのですか?。ほら!!また、バス ケットが大きく揺れ始めました!!。ほら!ほら!ほら!!!。 ガサゴソ、、ガサゴソ!? キュルルルる〜!! ゴットン!! キュルル?キュ! キュルルルルルる!!(ヘーイ!ベイビ〜!!) どうやらバスケットの外、野原のしげみに恋の予感が、、、、。な〜んだ!! なるほど、、、恋の季節なのですね!。バスケットのヤモリ君!、どうやらお 相手を見つけた様子です。どうやら美しい尻尾が誘惑し始めている!?。 暮れ沈む夕日を浴びながら、物静かな野原で愛を確かめたかったのですね。 あなたはとてもロマンチックな恋のお姫様!!。ハードボイルドな恋は不似合 いなのに違いありませんね。ロマンチックな二人きりの夕焼け?!え〜!!ど うやらそうじゃない様子!。バスケットのヤモリ君、、、どうやら片思いに苦 しんでいる御様子。 お高くとまるなよ、ベイビ〜! キュル!キュルルる! 付きあえよ!ベイビ〜! キュッキュ、キュルルル、キュッキュ、キュッキュ、キュルルルる〜!!。 フン!さよなら、しつっこいのよ、ば〜か!キュ〜ル、、、。キュッ!! ヤモリ君、すっかり都会で忘れかけていた野性の叫び声を取り戻した御様子!。 熱心にベイビ〜!ベイビ〜!キュルルルる〜〜!?。え!キュル?!あ〜!〜? 〜!。お〜い!やめろ!!いいとこなんだからって!!やめろって!!キュルル る〜!ヘイ!ベイビ〜!!俺は逃げてなんかいるもんか〜!!まってくれ!! おいっ!!離せってば〜〜!!キュルルルルる〜!。 「よかったね。みつかって!!」 「うん!大きな声で鳴いてくれたから、すぐ見つかったね!!」 「婚約指輪、、、、なくすとこだったね!。」 「、、、。」 「ごめん、、、、そんなつもりは、、、、。」 「ねえ!ひろし君!、、、母さんに会う前に教えて欲しいの、、、。」 「、、、、。」 ひろし君はあなたを静かに優しく見つめると、あなたの目蓋を軽く指先で、、、、 首筋に優しく手をまわすとキスをしてくれます。 「ねえ、、、、。」 「ん、、、。」 「もう一度して、、、、。」 ちゅ〜ちゅ〜ヤッてんじゃないよ〜!! キュル!!キュルルルる〜!! ヘイ!ベイビ〜!!待っててくれよ、いま、そっちへ行くからよ〜!! キュルる! 「ほら、、、ひろし君、、逃げそうよ!!、、はやく!、、。」 「おとなしくしろ!!、こいつ!、、、ほら!」 ツンツン!! キュルル〜キュルルる〜!! 「ねえ、、様子が変じゃない?。鳴き声が他にするみたい!!。」 「ほら!!ミッちゃん、、、あそこ、、、あそこにもヤモリがいるよ!。」 「ほんと〜ね!!、、、じゃ〜あ、こいつ!、、、きっとお相手が欲しいのよ。 ずっと独りぼっちだったから、、、、。」 「一緒にしてやろうか?、、、。」 「そうね!!、、、」 二人とも顔を見合わせると、、、、クスクス、、、、思わずおかしくなってし まいます。 キュルルルルルる〜〜!!! 「ほら!、、喜んでいるみたいだよ、、こいつ!!。」 キュル?! 「ねえ〜、、、こっちのほう、、、嫌がってない?!、、」 「とりあえず、もうそろそろバスの時間だよ、、、急ごう!、、面会時間に、 まにあわせよう!!、、。」 エイ!! バスケットに押し込んでしまいましょう。 暮れ行く街の明りに、二人、想いを寄せあって、、、、。あなたのほっぺは 恋に火傷しそう!。窓を大きく開けて、そんな火照った心を優しく冷ましまし ょう。ひろし君がそんなあなたの恋に震えた肩を、そっと抱き寄せてくれるは ず、、、。恋するあなたは甘えたがり屋さん!!。彼の膝で眠りたい、、、 想い出の夢の続き、、、、二人きりの夜、、、。 ぼんやり屋さのあなたは、すっかり恋に夢中で、ひざに乗せたままのバスケ ットの事なんて頭にありません。 コトン!! バスケットは、二人の夢を壊さない!静かに傾きます、、、 そうして、、、、。 キュル! キュルルルる? ピョコン、、、キュルルル! すっピョコン、、、キュルルルる!! あらあら!!!大変!!逃げ出していますよ、、、。夢のような恋の続きは 後にした方がよさそうなのに、、、、、。 ヘイ!ベイビ〜!俺の事、嫌わないでくれよ〜、な〜!! キュルる、、。 ふん!!、イヤよ!、、 キュル! どうしてなんだい?ベイビー!。お似合いのカップルじゃないか? キュる? どこが〜!?、、とにかく最低〜なのよ、、あなたのそのオ・ナ・カ! キュル!!。 おなか?、、キュる? そうよ!、、、あんたみたいにデブッた中年ぱらよ、イヤなの! キュル! ヘイ!!待ってくれよ!!行かないでおくれ、、、僕のハニーちゃん!キュルル ルる〜!! ピョコン、ピョコン、ピョコ〜ン!! キュル! ぴっこん、ぴこぴこ、ぴっこらしょ!! キュルる! 「おい!っ。ミッちゃん、、、大変だ!!、、かごの中!、、ない!。」 「え?、、、、うっそ〜!!」 「おいおい!!あれみろよ!、、、窓から逃げ出しちゃった〜!!。」 さよなら! キュル! ピョコ〜〜ンだい!! 「え〜〜〜!、、、。」 「ミッちゃん!!そこそこ、、、、そこにいる、、早く捕まえろ!!。」 「え?。」「ほら!!」 えい!! キュルる!? ベイビ〜、、、ベイビ〜、、、ベイビ〜い!! 「ねえ!。見せて見せて!!、、、、。ほら!!」 「ほんとだ!!、、、。」 二人は顔を見合わせると大笑い!!。ほら!、このヤモリ!!、おなかの所が 大きく膨らんでいます!。 「よかった〜〜!なくしたら、、返せなくなっちゃうところだったわ!。」 「え?!。」 「、、、、」 「好きよ!!ひろし君、、、、。」 あなたはそっと、ひろし君の顔に唇を近付けゆきます。 「けっ、、結婚、、、、してくれるね!、、、。」 「、、、」 「、、、」 「うん、、、、、」 キュルル〜る!、キュルル〜る!キュルル〜る!! 憂鬱で悲しげな鳴き声が聴こえてきます。 「ほら!、、今度は逃さないぞ!!、、。」 「ねえ〜ほ〜ら!おとなしくしようね!!、、、。」 指輪を飲み込んだヤモリ君、、、、暗いバスケットの中、、独り、憂鬱!。 二人は幸せな結婚をしましたとさ!! おしまい 3月 HVJ36211 ごんた
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「空中分解2」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE