CFM「空中分解」 #1752の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
案山子やや肩傾ぎかす刈仕舞 コスモスの貌突き出せし鉄ヘンス 焼酎で生傷洗ふ時雨峡 画鋲にも確と恃みぬ文化祭 抱擁に初恋の残些木の葉髪 いとこが今にも死にそうな病気で喘いでいた 病院は吉祥寺にあって見舞いに行った 妻と妻の妹と三人で 四人部屋でドアよりに北枕で寝ていた 点滴が三、四本まとめて 胸に突っ込まれていた 妻の妹 彼の妻が看病していた 彼の妻も窶れて乳房の膨らみもなくしていた 病人と語った 俺よりもあんたは強かったのにね そう 今度の今度は参っちゃった 病人は素直だった 息遣いが激しかった ふた言も話をしない内に催尿を訴えた その度に場所を彼の妻と代わった 心臓が苦しくないか いや 腹が気持ち悪いだけだ やせ我慢しているな 腹が破裂せんばかりに張り詰めていた 風船でもあるまいに 連れの洋子には洋子の亡母を懐かしんでいた 妻の母親でもある 俺の義母でもある 元気になって 飯坂温泉に行きたい 飯坂温泉は俺の家の近くだ 東京の吉祥寺から想いは馳せた 広大なファイルだ 俺がさよならをするときは上の空 まさに雲の上を歩いているように見えた うんうんうんう 「ん」が小さく寄り添っていた まもなく意識不明になって天国に逝った 東京の吉祥寺から福島の拙宅に 電話があったのは朝方3時頃であった 告別式と火葬を兼ねた葬儀は 鎌ヶ谷市馬込の斎場で行なわれた いろいろあっていろいろと悔いていた 喪主の和子が挨拶すべきだった でしゃばりの佛の弟が挨拶させなかった 世話好きだった佛は別のファイルで ニコニコ笑いながら 懸命に 何かと話しかけていたが 一向に声が届いてこなかった 斎場の庭に猫達が棲んでいた 春に生まれた子 夏に生まれた子 一緒に母親の周りに集まっていた 母親にそっくりのいちばん小さな子は 母親に寄り添いつづけだ つつじの薮から グレーの大人の猫が現われた 父親だ 見事な睾丸をぶら下げている だが 何としたことか 首輪に前足をねじり込んでしまって 前足が使えない 脚の肩にばっしりと食い込んでしまって 肩の肉が二つに裂けて鮮血をしたたらしているではないか 金星を設えてある本皮のネックレースだ 止め金の端が仰け反って 早く外してくれと叫んでいる 俺は大きなガラスのドアを押し開けて行って チチチチチtと家のチコの名で呼んで 首輪を外して遣るからオイデ 無念 その度に薮に姿を消してしまう もう見ていられない 無理をして仮睡した なんとかして遣らねば 灰皿洗い 紙屑まとめは 肢体不自由な身体傷害者の仕事だった 床にべったりしゃがんで汚れるだけ汚れて 皿をやっと捕まえて皿を拭いていた もう一人は 紙屑に負けてなるものか と およそ意思とは反対に動く腕と格闘していた 待合室の各部屋の出入口では 紫一色の生地を着流した 胸には己が名前を飾った女が 客がくる度に頭を下げていた 妻と洋子は淳のジープで帰った 俺は新幹線で帰った 前の電車に間に合わなくて次の電車 8時 下痢が止まっていた 斎場の冷たいビールとご飯が良くなかった 俺は家に10時に着いた 妻は12時過ぎに着いていたようだ 俺は夢現で起きなかった 音が凍み出した 寒い寒いと俺が俺に云った チコはペッタンコと俺に寄り添った トイレに行かなくちゃならないのだろう そっと懐から降ろして遣る 限りなく音楽が愛を奏でていた 生きている限り歌い続けた 召されて天国へ行った人達に聴かせるために いま天国に旅立とうとしている人達のために またしてもしがない(不必要な修飾語)俺のために 退勤時に あれ 雲がちぎれて飛んでくる どこやらの木の葉だった そいつらが俺の車にまつわりつくんだなあ 何と仰って これが神の摂理よ 苦しい苦しいイ そして潔く車に引かれて あと忘れ去られた 俺も家へ帰ってから 2合の酒をグイ飲みして あとは眠むりたいだけなのさ 夕焼けの色の紅さが足りなかった 俺のまなじりがそれを見て 真っ赤な夕焼けも見もしないで 交通事故を起こしたくない チコが妻の寝ている布団の中から顔を出している さっきから俺の一挙指一動に気を配っている 俺は起きざまに彼女の頭を掌で包んでやる 俺がコンピュータの仕事をしていると 俺にだっこをしながらコンピュータの顔と 対面していなければならないという チコを抱っこしていては仕事にならないので ドアを閉め切っておくと 爪を立てて うるさく 中に入れさせろと云って聴かない よく訳を話して ドアを閉めきったままにして置けば 催促をしなくなった 安心していると ある日あの時 俺がトイレに入っている内に忍び込んで 机の上のコンピュータの前に立って しげしげと待ってるではないか 一本やられたな 神様 俺はそれにどう対処すべきなのか 神様曰く 改善しなさい 眼に余る現実に直面す 砂ぼこりを吹きすさぶ嵐はいつまでも続くまい 云うことをきかない犬を飼っていた 飼った以上は云うことをきかせねばならないし 死ぬまで一緒の覚悟でなければならない さもなければ 殺せ 保健所の大量虐殺よりはよっぽど畜動的だ 再び問う 神様如何にすべきか 答えて 飯を食ってまず活力だ 殺る筈が殺られてをりぬ木の葉髪 定住の共にふた年歳庭木枯れ 裏に川ありて白鳥立ち寄れり 愛らしき御足なげ出す炬燵猫 白髪狸は俺が寄って行くと話を止めた 割り込むなと言っているようだった イライラが見透いた 数学教師のブスがプリンターを 乱暴に扱っていた 後に使う人が迷惑しますよ だが 俺の忠告をせせら笑っていた 本が並んで立っている その上に植木鉢など置いてはいけない と言えば 能面蝙蝠が ああら 十年この方の習慣よ 十年以上も間違っていたというの そうよ 全く不自然だ もっともそれ以上も経っている感じ 実も蓋もない 私が間違って居るんだってえー 雌の仲間に 自嘲しながら 加勢を求めていた それでよし 彼女の本体も見届けた 皆信じられぬ 信じられぬは信じられるの謂いなり 信じられぬ実体があるのだ 信じられぬ実体は大凡信じられる実体に等しい 立派なファイルではないか 現に実存するのが何よりの証拠 それを避けていては 大事な大事な真実を失う 良いことに気がついた 希望と言う名の概念と重なってくる 確かな実感 これは新しき志向に相応しい だが又信じられぬファイルはとるに足らない 何一つ協力しようとしては来ないからだ 在ったら邪魔になる位のもので 無くて丁度良かったと思ってよい あてにしなければよいという意見 そう あてにするな と自分にいいきかせて きれいに抹殺してしまう 抹殺できないまでも なみあむだぶつと努力する なみあむだぶつ なんみょうほうれんげきょう アーメン ソーメン 腹空かね 自分の事ばかりで 他人の事を爪の垢ほども思えない職場だ お茶を注がれても毒が入ってるとしか思えない 佛様にお茶である 前日に休んだおんっざんがそのお茶を呑んで うわー殺される と叫ぶ お茶などは注いで貰わなければいいのだ 三日間 注ぎ忘れたお茶 あのチンコロめ あの奴めの嫌な一面をちらっとは見たが まあ程よい感動の塊か いいとしなくちゃ これからが奴の正体の見せどころじゃ 未だ一度もお会いしたこともない人が夢に現れた 翌日 草野心平先生が亡くなっていた お会いしたい気持ちが通じたのかも知れない 思うこと感じることみんな肝心がらめ にっちもっさちも行かぬとはこのこと 若年寄りの御尊父の逝去の告別式が 丁度日曜日にかち合わないで おれも俳句会に行けるというもんだぜ 俺が死んだときは賑やかにしないでおくれ 頼む ほんとに 奴のことを家にいれてはならないよ
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