CFM「空中分解」 #1721の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「どうだ、見えるか?」 「んにゃ、ぼーっとしか見えん。」 「ダメだなあ、もっと練習しなくちゃ。」 「分かったよ。それより、おまえの方こそ、成果は上がっているのか?」 「テレキネシスか?ふふ、ちょっと待ってろよ・・・。」 「わっ!ぼ、僕を実験台にするな!やるんなら物でやれ!」 「冗談、冗談。そうだな、あのコップを見ていろよ。」 「おおっ!随分高く浮かすことが出来るようになったな。」 「驚くのはまだ早い。それっ!」 「え?中身だけを浮かせるようになったのか?」 「ああ、戻すぜ・・・。ふう、これやると疲れんだよ。浮かす上に形を整え なきゃならないからな。」 「おまえ、上達するのが早いなあ。羨ましいよ。」 「しかしねえ、こんな事出来て何の役に立つんだい?人前で使えないなら、 しょうがない。」 「犯罪にでも使うか?それとも、TVに出るか?」 「バカ!発想が貧困なの、おまえ。俺、悪いことは大嫌いなの。TVなんか に出たら、インチキって言われるか、嫉妬を受けるのがオチさ。」 「住みにくい世の中だねえ、全く。でも、僕の能力は色々使えそうだ。」 「どうせ、覗きか試験の答を見るってとこだろ」 「あれ?おまえ、読心術も出来んの?」 「そのくらいの事、誰にでも分かるさ。クレヤボヤンス(透視)能力があれ ば、誰だって考えるだろうよ。」 「大変よ!・・・、あ、阿久津君、また隣の人を覗いていたな、やらしいっ たらありゃしない。」 「ち、違うよ。そりゃ、覗こうとしたけれど、まだ見えないんだよ。」 「どうだか。本人が言っているだけじゃあ、信用できないわ。」 「それより佐木、いきなり人の部屋に駆け込んで来る程『大変』な事ってな んだ?」 「あ、そうそう、完全な密室殺人があったのよ!新聞に出てたでしょう。」 「ん?知らんなあ。新聞はとっていないんだ、俺。」 「あっ、僕、知っているよ。高級マンションの10階でどこかの会社の偉い さんが死んでたんだよね。ドアの方は合鍵の作れない電子ロックが掛かってい たし、窓の方は磁力を使ったクレッセント錠が掛かっていた・・・。もちろん 隙間はどこにもない。その上、一階には受付があって、出入りする人をチェッ クしている。だいたい、こんな所だったと思うけど・・・。」 「そう、被害者はカモメ証券の重役さん。何かと悪い噂の多いところだから、 警察に追いつめられての自殺かと思われたんだけど、遺書がないんだって。で、 私、思ったの。これは超能力者の仕業じゃないかって。」 「と言うと、ミスターマリック?」 「何、冗談言ってんの、一馬君。正真証明のエスパー!」 「なるほど、エスパー魔美か・・・。」 「もうっ、怒るわよ!確かめたいのよ、私。超感知能力を使って・・・。」 「ちょっと待った。君の力は超感知能力なんて名付けなくても、第六感で充 分だと思うけどね。確かに、超能力者がその力を使ったら、それを感じ取れる ってのは珍しいけど・・・。」 「第六感なんて言っちゃ、超能力者じゃないみたいじゃないの、私。いいか ら、私を現場に連れてってよ。入口を通らずに行くには、一馬君、あなたの力 を使うしかないんだから。」 「無理言うなよ。俺の使える力はテレキネシスでテレポーテーションはまだ 不完全なんだぜ。」 「似たような物だって、自分で言ったじゃないの。もう、テレキネシスでい いから連れてって。」 「『私を現場に連れてって』か・・・。いや、悪くないぞ。いいだろう。し かし、今はまずい。夜にしよう。時間は・・・。」 「その時間でいいわ。頼んだわよ。じゃあ。」 「ふう、やっと行ってくれたか。彼女も変わっているよなあ、超能力を使う のに、理論づくめの推理小説が好きだなんて。」 「あれが超能力と言えるのかね。さっきも言ったが、第六感で充分だ。」 「またそんな事を。それより、利用価値があったじゃないか、この力。」 「犯罪捜査に使うってんだろ。だめだめ、TVに出りゃ一緒さ。」 「TVに出なけりゃいいじゃないか。一馬、おまえ、先入観があるんじゃな いの?」 「ふむ・・・。そう言えばそうだな。今まで、超能力者と言ったらTVに出 ると決めつけていたからな。だが、問題となるのは、どうやって警察に知らせ るかだ。」 「通報なんてしなくていいよ。仕事人になろう!藤田まことみたいに。」 「本気で言っているのか?そりゃ中村主水は渋いが、人を殺すなんて。」 「人を殺すんじゃないよ。人情のカケラもない奴を殺すんだから、いいじゃ ないか。」 「ものは言いようだな。もう一度聞く。本気で言ってるんだな。」 「そう。」 「なら、俺の考えは保留させてくれ。余程の悪人で、ぬけぬけと生きている 奴だけなれば、考えてもいいが。」 「結構、乗り気なんじゃないの?そうだ、時間つぶしもかねて、必殺仕事人 のビデオを見せてくれないかな。」 「それもいいな。仕事人大集合でいいか。」 「いいよ。」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「ああ、面白かった。僕、仕事人同士が闘うのって、ゾクゾクしちゃう。」 「そうかい。俺は、沖雅也が出て来るのが好きなんだけどな。」 「そろそろ約束の時間だよ。例のマンション前に行くんだっけ。」 「ああ、仕度するかな。」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「やっと着いた。早くテレポーテーションをマスターしてくれよ。疲れる。」 「贅沢言うんじゃないの。今の俺は、テレキネシスで手一杯。それにしても 佐木は?人に頼んどいて遅れるとは・・・。」 「はーーい、待った?ごめんなさいね、抜け出るのに手間取ちゃって。」 「おいおい、大丈夫なのかよ、親の方は。」 「平気。さ、早いとこ始めましょ。」 「よし・・・。ちょっと待て。佐木、おまえ何でスカートはいてんだ。下か ら・・・。」 「だって、買ってくれないんだもの。女はズボンなんかはかんでいいって。」 「自分の金で買えばいいだろうが。」 「もらってないもん。」 「何という・・・、分かった。その格好でいいんだな。」 「要は、あなた達が見なきゃいいの。さ、いいわよ。」 「それでは。」 「きゃっ!もっとゆっくりとやってよ。バランスが取れないわ。」 「はいはい。」 ・ ・ ・ 「ようし、一馬。もう少しだ。高さはいい。もう少し、右。ああっと、行き すぎた。」 「ごちゃごちゃ、うるさいね、おまえも・・・。はあ、やっと終った。」 「まだだよ。帰りがあるからね。」 「帰りは階段、使やいいだろう。入る人はチェックするだろうが、出る奴は しまい。それよりおまえ、見たんだろう、この!」 「そりゃ、ナビゲーターやってりゃ自然とね。それにしても家柄も変わって いるようだなあ。佐木の親も。」 「『彼女がズボンに着替えたら』か・・・。これも悪くないな。」 「何だって?」 「別に。おっ、佐木が合図しているぜ。階段使えって、言ってくれ。」 「無茶ですよ。何のために夜やってんだか・・・。さあ、頑張って!」 「しょうがない。いくぞ。」 ・ ・ ・ 「し、しんどい・・・。」 「ご苦労様。」 「ありがとね、一馬君。後でお礼するから。」 「そ、それより、捜査の結果は?」 「確かに、超能力が使われているわ。テレポーテーションが。時間が経って いて、どこに逃げたのかは、分からないけど。」 「ふーん。俺ならテレキネシスで、窓の鍵を掛けるがな。」 「使えないんでしょ。ああ、犯人を捕まえたいわ、こうなったら。」 「そうだなあ。別の意味でも、会ってみたいな、超能力者に。」 「でも、これからどうするんだい?手がかりはないし、俺のテレキネシスや 阿久津のクレヤボヤンス、佐木の第六感・・・。」 「第六感じゃないって!」 「分かった分かった。佐木の超感知能力等は、役に立つまい?」 「そういう時には、推理することよ、す・い・り。」 「はあ・・・。」 「始まったな、佐木のミステリ好きが。」 「私に任せといて。動機の面から、目星は着けられると思うから。」 「結構。ふっ、何だか乗り気になっちまったな。」 「それじゃ!」 「ばい!・・・、おい、手を振るだけじゃなくて、声でもかけろよ、一馬。」 「・・・俺は疲れている・・・。」 「分かったから、早く帰って寝よう。」 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 「・・・、ん、うむーーーん。ふぁあーあ。7時か・・・。」 ・ ・ ・ 「初子さん、朝ですよ。」 「・・・、はい、おかあさま。」 「昨晩は、随分と静かでしたが、どうしていたのですか。」 「あ、あの、はい、昨日は疲れておりましたので、早めに休ませてもらいま した。」 「そう。」 ・ ・ ・ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 −続く− ここから書き方を換えます。今まで会話だけでやってきましたが、この種の 小説における限界に達したようです。読者の皆様も、時間の経過を・・・で表 されては、退屈でありましょう。多分、次回からは阿久津の視点を取った描写 となりましょう。なお、上三つの描写は、朝の目覚めであり、上から阿久津、 佐木、一馬の順であります。 <次回予告> 佐木からの報告で犯人を絞りつつあった三人は、犯人に「会い」に、色々と 飛び回る。やっと突き止めた犯人と・・・?さて、どうなるかは、次回を。 本当は、細部なんて決めずに書き出したんだよー。名前も思い付くまま、性 格も思い付くまま・・・。超常現象を初めから取り入れたミステリーはどうか、 と言うような話があったから、実験的に書いています。どうも、超能力者を出 しちゃうと、どうにでもケリをつける事が出来そうなので、いい加減に書き出 してしまった。 じゃあ、何で、公に書いたかと言うと、いい加減になってもここにUPした ら、尻切れトンボで終らせることが出来ないような状況になるんじゃないかな あ、と言うことを期待してのものでして。怒らずに読んでください。このSF 推理サイキックファンタジィミステリーが続くかどうかは、読者の声にかかっ てます。ファンタジィになるかどうか、分かんないけども。
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