CFM「空中分解」 #1637の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
by 尉崎 翻 その時扉の外から気配を感じた、ダグがあわてて一つの繭の後ろへ隠れるのと 扉が開くのが同時であった。 扉の向こう側からは身体全体をマントで覆った人物が現われその後ろに一人の 女が従者のようについて来た。前者は身体全体をマントで羽織っているために顔 どころか性別すらわからない。その後ろに位置する女は繭の中にいる娘達よりは やや年が上とみられる、腰位まである髪を後ろで束ね露出度の多い官能的な鎧を 着ている。顔はそう美人とは言えぬが並の上という所だ、ややアマゾネス的な雰 囲気を漂わせている。 マントの人物が両側の繭を一つずつ確認するように見回しながらスタスタと歩 き、女がその後を無言でついていく。どうも物色しているような感じがダグには 感じられた。 マントの人物が一つの繭の前でピタッと足を止め、ひどくしわがれた声と共に 繭を指差す。 「こいつにする」 すると繭の表面に縦に亀裂が走り左右にパカッと割れた、女がニヤッと微かに 笑い繭の中から全裸の娘を物を取り出すかのように引っ張り出し肩にかつぎあげ た。繭から出された娘はいまだ眼をかたく閉ざしており意識が無いようだ。女が 娘をかつぎあげるのを確認するとマントの人物は入って来た入口と反対方向に向 かおうとする。 と、歩みを止めた。 「ふむ...丁度良い。先程のあの娘を...」 パカッと二つに割れた繭の前に戻りマントの人物は両手を顔の前(むろん顔は マントで見えぬが)で組みなにか呪問のような言葉をつぶやくように唱える。そ の間も女は無言で娘をかついだままマントの人物の傍らで立ちつづけた。 マントの人物の前の空間が急に歪む。それと同時に彫刻のような物がそこには あらわれていた。 「げっ!」 ダグは驚愕して思わず声を出してしまった、あわてて両手で口を塞ぐ。どうに か気付かれはしなかったらしい。 「「「なんてこったい! * リクトが宙を舞った。 高々と剣を振り上げガーゼットへ突進する。 振り下ろした剣は金属音を発しガーゼットの腕と直撃する。 パワーに押されリクトは後ろに飛ばされた。 「くっ!」 手がしびれた。 全力をそそいだ一撃でもガーゼットには通用しない。岩そのものとも言える身 体全体が剣の刃を軽々と跳ね返す。 石化攻撃を避けるためにまともに相手を見れないのはなんともいたい。 並の剣なら一撃でへし折れるかもしれぬ。 リクトは手にしている己の剣に眼を移した。 その剣身は刃こぼれどころか一筋の曇りみうけられない。凝視すれば吸いこま れるかとも錯覚する鮮やかな剣身を誇示していた。 「「「さすがは...魔剣 リクトは再びガーゼットをにらみつける。 できるだけ引きつけなくては。 その間にレナがなにかしらの手を打つに違いない。 ガーゼットの振りかざす手が青白く光る、あの衝撃波が出る前兆だ。 「「「よけるか!? 一瞬躊躇したが行動はその考えを吹き飛ばした。 よけてしまっては衝撃波は部屋全体に及ぶ、そうなればティスタは粉々になっ てしまうかもしれない。 両手がまるで意志を持つかの如く剣共々前に突き出す、途端、剣が赤く光り出 す。まるでオーラの如く光は剣の廻りをまとわり次第に光量も増し始めた。 リクトの心は剣に全て集中していた。 いや、むしろ囚われていたといった方が正確かもしれない。 眼の前の強大なる敵を対することを剣は歓喜しているように動き始めた。 リクトは真正面からガーゼットの拳を受ける構えをとる。 それははたして自分の意志だったのか。剣の意志だったのか。 ガーゼットの拳の青白き衝撃波がリクトを襲う、リクトは剣先をその正面へと 突き出した。剣を取り巻く赤き光は怒り狂う炎のごとく衝撃波へ襲いかかった。 光と衝撃がぶつかりあう。 「グガーーーーーーっ!!」 悲鳴を上げたのはガーゼットだ。赤き光が青白い衝撃波を貫き四散させたのだ。 剣を跳ねのけリクトを押し潰すはずだった右腕が肩の先からあとかたもなく吹 き飛んでいた。 「うググググゥ....」 さすがに切り口から血らしきものは出ないものの、かなりの痛手がガーゼット を襲ったらしい。その乏しい表情が明らかに苦痛に歪んでいる。 一方リクトは剣先を構えた体勢のまま一動作も動いてはいないものの息を荒く 弾ませていた。体力を相当消耗したらしい。たまらずガタッと膝を地面につける。 「「「これほどまでの破壊力... 「「「もし、この剣が主導権を握れば リクトはその思いをふり払う。 「うググググーぅ ヨクもォ、ヨクモォォォォォォっ!!」 ガーゼットの体力はまさに化け物である。グイッと体勢を直し左腕を構える。 リクトは今の一撃で体力をほぼ使い果たしていた。 「「「やられるっ! リクトは神に祈った。 「ぐわーーーッ!」 その悲鳴ともいえる声と供にガーゼットの動きがピタリと止まった。 「くるしい? くるしいでしょうね?」 レナが両手を前で交差させながら進み出た。 両指が複雑に絡んでいる。魔法をかけている証拠だ。 「レナ、なにをやったんだ」 リクトが剣を杖がわりにしてふらつきながらも立ち上がる。 「あいつの廻りの空気を一気に重くしたのよ」 レナが指を解いた。もう必要無いらしい。リクトがガーゼットを相手にしてい る間に呪問を完成させたのだ。そして床の小石を拾いガーゼットへ投げつけた。 すると小石はガーゼットの身体に当たる寸前に外から潰されるようにパリッと砕 け散った。 「ね?」 レナがかすかに微笑む。 「それよりも」 レナが顎で部屋の中央を指す。するとそこにあるはずのティスタの彫像が消え ていた。リクトはあわててレナへ視線を向ける。 「吹き飛んだんじゃないわ。わたしが呪問を完成させた時にスゥーっと消えたの よ。誰かが魔法を使ったようね」 (RNS.#1)<つづく>
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