CFM「空中分解」 #1619の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
by 尉崎 翻 だが、それをはっきりと認識する力がティスタにはなかった。 眼球から、しびれにも似た感覚が徐々に広まり同時に思考も麻痺してゆく。うめ き声すら出せない。しびれは全身に到達し既に全身の触感は失われていた。 そして五感の全てがとりはらわれたかの様にティスタは自分の位置を見失い、心 が底無し沼に落ちるかのごとく沈み始めていた。 「「「「石化攻撃があるかもしれないという注意。少し遅かったようだな」 リクトが壁ぞいにレナに近付いた。 ガーゼットの前には既にティスタは存在していなかった。 換わりにティスタだった物体が存在していた。 剣を構えまさにその剣先を突き立てようとする体勢のままティスタは彫刻の如く 石像と化していたのである。むろん剣、鎧などは元のままであるので一目みれば石 像に鎧が装飾されているように映るであろう。 ガーゼットが立ち上がる。 「ぐふふフフフ...なまいきなコムスメめぇ、ざまぁないワイ。サテ...きさ まらも同じウンメイをたどってもらうとするか...」 こまったことになった。 石化された人間を元に戻す術はある。 確かにある。 「「「石化された状態そのままであるなら。 もしこれが「「「何かのショックで粉々になったとすれば「「「 復活は難しくなってしまう。 しかもティスタは部屋のほぼ中央で石化しているのだ。 ガーゼットを倒すのは部屋のはじっこでなくてはならない。 「「「レナはこまっていた。 「「「ついでに、作者もこまっていた。 「しねーッ!」 ガーゼットの腕が振り降ろされる。 エネルギー波はない。 レナ達は四散しこれをよけた。 「まったく、進歩のない魔人ね。ブンブン叩きつけりゃいいってもんでもないでし ょうに」 「しかし破壊力はバカにできん。さて、どうする?」 リクトがレナの前に立ち振り向きもせずに問う。 レナは再びティスタ(の彫刻?)を凝視する。ガーゼットの石化攻撃はその発す る光を被害者が直視した場合に効力を現わすらしい。しかもそれは即効ではなくゆっ くりと石化してゆくようだ。 ダグの姿が見えない。 ガーゼットの一撃でミンチにされたのか? 「「「そんなにあっさり死ぬ人間じゃないわよね レナは楽観的に考えた。 それよりも問題は目の前のガーゼットである。 「リクト。少しだけ魔人をひきつけられる?」 「...OK。やってみよう」 リクトがジリッと前に一歩踏み出した。 * 「いてーーーっ!」 とっさに受け身をとったとしても痛いものはやはり痛い。 が、それは同時に生きてる証拠でもある。 ダグは一瞬だけ現在の状況を見失ったがすぐにとりもどした。 頭上数mの位置に小さな穴が開いており今もそこから小さな岩がパラパラと落ち てくる。あそこからダグもここへ落下したのだ。身体の各所を軽く動かし支障が無 ことを確認する。 ダグはギリギリでガーゼットの拳をよけたのだが、そのパワーで床がパックリと 粉砕されガレキと供におっこってしまったのである。 まわりを見渡すと道幅は3mもない通路の途中らしい。 壁はあまり凹凸がなく上に昇るのは難しそうだ。 「ちっくしょぉ〜 どうすりゃいいんだぁ?」 まわりを再び見渡す。 一直線の通路は視界の限りでは同じ様にはてしなく続いている。 このまま上からの助けを待とうかとも思ったが、いつになるか判ったもんじゃな い。下手すりゃ上のレナ達は全滅してしまうかもしれないのだ。 結局、この場所をよく記憶にしまいこんでおいてから、廻りを少し探索してみる 結論にいたった。 『こっち』と、決めた方向に進み始める。 今、進んでいる方向が北なのか南なのか。あるいは西か東か。そんなことはまる でわからないが、この際それは意味をもたない。 光苔の一種が壁についているのであろう、進む通路は壁自体が鈍く光っており状 況は把握できる。通路は全て岩であるが足元が整地されてることや、天井の高さと 通路の幅が一定なことから人工的に作られた事に間違いはない。 歩き始めて2分とたたぬうちに行く手を扉が遮った(笑)。 ダグは慎重に扉に近付き様子を探る。 一瞬の出来事だ。 ダグが扉を探り始めたと思いきや扉は既にその自らの使命を失い開かれてていた。 先程のダグとはうってかわり別人のような手際の良さである。 ダグはチラリと後ろを振り返り同時に気配を探る。 人の見られた気配はない。 開かれた扉の向こう側を探りながら足を踏み入れた。 部屋の大きさは横幅5m、奥には10数mという所であろう。壁や床は岩がむき だしであり変わったことはない。 だが部屋の内部にダグは目を釘づけにされた。 左右の壁に等間隔をおいて卵型の繭のような物が立っていた。ほぼ大きさはみな 一定であり高さ2m位である。繭を形成する糸は半透明でありその内部が容易に透 けてみえる。 「「「人間。 しかも、みな若く美しい娘ばかりである(やっぱりと思いました?)。 さらには全員が繭の中で一切の衣をまとっていない。 よーするに、スッポンポンの状態である。 立ったままの姿勢で眼を固く閉じている。意識はないようだ。表情がみな氷のよ うに冷たく死人かと見間違う位であった。だが生きている証拠に僅かだが息をして おり、時々身体が少し動いたりもする。 「わーぃ☆ ラッキー。いーもん みっけー☆」 と、いつものダグなら眼の前に繭に飛び付いたかもしれない。 「「「が。 ダグは一つの繭に手をかけ掌で繭の表面を押してみる。グッと強く弾力があり手 を離すとすぐに形が元にもどる。繭の糸はかなり強く切れそうにはない。 中の娘たちはなんらかの形で仮死の状態にされ、虜「「「いや、保存されている ようである。ざっと見て20名近くはいるであろう。人種は様々であった。年齢は みな「「「ダグはふと思った。 「「「全員ティスタと同じ位だな。 (RNS.#1)<つづく>
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