CFM「空中分解」 #1602の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
高田は無言であたしのことを睨み付けた。ちくしょう、判ったわよ。 殆ど売り言葉に買い言葉。あたしは一気にまくしたててしまう。 「だって普通、自分が振られた相手と仲良く話なんか出来る?せめて、せめて昔のい い思い出にしようと努力して、なんでもないふりをするしか仕方がないじゃないの。 あたしにはこれが精一杯の努力なのっっ!」 なのに。あたしがこれだけ恥をしのんで言ったのに。高田の奴はあきれたような顔 をしてつっ立っているのだ。その気の抜けた顔が腹立たしくて、あたしは思いっきり 高田を睨む。 「なによ。当たり前でしょっ。」 「…ちょっと待て。お前いつ俺に告白なんかしたっけ?」 「卒業式の日よっ。電話したでしょっ。」 「…ああ、確かに掛かってきたことは掛かってきたよ。でもあれは…確か今西の方か ら一方的に切らなかったか?」 「だって、あたしが名乗って、そしたらあんたが黙り込んじゃったんじゃないの。そ したらああこれは望みがないんだな、って納得するしかないじゃないの。」 「…あのな。勝手に思い込むなよ、頼むから…。」 え。何、どういうことよ。 高田の方は完全に気が抜けた風で、先刻までの怒ったそぶりはすっかり消えている 。 でも、今のは聞き捨てならないわ。 「どういうこと。説明してよ。」 ことと次第によっちゃ…。 「おれはてっきり今西は沢田の橋渡しをするつもりだと思ったから…。」 ずるずるずると壁に沿って座り込む。頭を掻きながら。あたしもつられて座り込ん じゃったけど。 沢田ね。沢田というのはあたしの親友だった子で、あの子も高田が好きだった。 でもねぇ。 ははは。何だかあたしも気が抜けちゃったわ。結局一人芝居だったってことか。 振られたと思い込んでただけとはね。道理で。 高田には罪悪感はこれっぽっちも無い訳だ。はははは。なーんだ。 「あーあ、ばかみたい。」 壁を背に体育座りをして膝を抱える。隣には高田。二人とも気の抜けた顔で。 誰かが見たらさぞかし変だろうな。 「結局俺ら、両思いだったんじゃないか。」 「ほーんと。 …え?!今、なんて…」 嫌だ、あんまりさらっと言うんで聞き逃す所だったじゃないの。 「両思いだったって言ったんだよ。」 ん。抵抗する暇もなく、唇を掠め捕っていかれてしまう。何て手の早い奴なんだ。 「今のは中学のときできなかった分。」 いたずらっぽく笑ってみせる。ずきん、と胸に響いた。 ああ、やっぱり好みだなぁ。 「で、今の分。」 今度はあたしもちゃんと目を閉じる。完全に身を委ねちゃって。 校舎内でこんなこと、見つかったら「不純異性交遊」かな、なんて思いながら。 今度こそ思い出を、ラベンダー色のリボンで括って、しまってしまおう。 思い出す度ほろ苦い思いをすることがないように。 だって、次の未来が今、戻って来たんだもの。 Ende
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