CFM「空中分解」 #1579の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 涙のあとで やまと あつし −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− その夜は、いつになく落着かなかった。 私ひとりしか居ない部屋の中はしいんとしていて、戸外の小雨の音がかすかに聞こえ ていた。ときたま思い出したように、近くの道路を、車が大きな水音をたてながら走 り去っていった。 静かな夜だった。 音を消したテレビ画面には戦争映画が映しだされていた。音もなく静かに銃は火を吹 き、砲弾は炸裂し、兵士は無言の叫びとともに死んでいった。 電話はまだ鳴らなかった。 私は気持を静めるために新聞を手に取った。適当なページを思いっきり大きく目の前 に拡げ、唇を一文字に結んで睨みつけた。視線は紙面を漂うのだが、まったく読む気 にはなれない。ええい、とばかりにクシャクシャにたたんでテーブルの上に放り投げ てしまった。 電話はまだ鳴らなかった。 もしかしてコードの接触が悪いのではなかろうかと思い、受話器を叩いたりコードを 軽く引っ張ったりしてみた。なんともないようだ。試しに時報をダイヤルしてみた。 秒を刻む音が聞こえると間髪を入れずに受話器を置く。そして、イライラしながらテ ーブルの回りを歩きまわった。 テレビはいつの間にかビールのCMになっていた。 それでも電話は鳴らなかった。 風呂にでも入れば少しは気が静まるかもしれない。 どんなに私がイライラしようと相手には関係のないことだ。いつダイヤルするかは相 手が決めること。ならばもっと冷静な気持ちでいた方がいいではないか。 風呂のスイッチを入れた。蛇口から自動的にあふれる湯の音が、かすかに聞こえてく る。私は裸になると、受話器を抱えたまま風呂場にむかった。受話器のコードは延長 してあるので、家中のどこへでも持って行けるようになっていた。しばらくして、ほ てった身体をバスタオルに包み、受話器を抱えたまま出てきた。 まだ鳴らない。 グラスに氷をいれ、ウイスキーを注いだ。 一杯飲むと少しは落着いた気分になってきたので、ベッドに横になり、いつまでたっ ても鳴らない電話を、じっと恨めしそうに見つめていた。 ところが不覚にもいつの間にかそのまま眠り込んでしまった。 気が付いたときはすでに朝だった。私はあわてて飛び起きて電話のところに駆け寄っ た。もし、眠っている間に電話が来ていたら私はとり返しのつかない事をしてしまっ たことになる。どうしようか。だがまて、呼出し音は音量の設定を最大にしてあるじ ゃないか。たとえ、眠っている間に電話がかかって来たとしても必ず気づくはずだ。 たぶん朝まで電話は鳴らなかったに違いない。私は自分を納得させ、ふと時計を見る と、十時を少し回っていた。 ドアを叩く音がして、別居中の妻が心配そうに入ってきた。別居中とはいってもすぐ 近くに住んでいるし、毎日一度は食事のしたくに来てくれる。 「電話はありましたか」 「いや、まだだ」 「ねぇ、覚えていらっしゃるかしら、今日でちょうど五年になりますのよ、あなたが 解雇通告を受けてから」 「ああ、もうそんなになったか。まあいい。何年になろうと、かならず解雇取り消し の電話はかかってくるはずだ。必ず、かかってくる。私はおまえと違って、今まで希 望を失ったことはない。だから毎日こうやって待ち続けることができたのだ。なぜお 前にはわかってもらえないのだ。いいかい、きっと奴らは自分の判断の間違いに気づ くはずだ。そして、解雇取り消しの電話をかけてくるに決まっている。だから、明日 を信じることなんだ。希望を失ったら人間はおしまいなんだよ! 希望を持ち続けな ればいけないんだ、希望を!!」 妻は感動したのだろうか、いつになく涙を流していた。そして、私の肩にそっと手を 置いてから、いつものようにエプロンを付け、台所へと静かに消えていった。 電話はまだ鳴らなかった。 やがて、台所から妻の叫び声が聞こえた。 −−−−−−−−−−−−−−−−− 完 −−−−−−− ID:YDA49104 やまと あつし はじめまして。生まれて初めて書いた小説です。 普段なにげなく遣っている日本語ですが、いざ小説を書くとなると、余りにも言葉を 遣いこなせない自分を思い知らされました。言葉の選び方、「、」の遣い方、どこで 改行したらよいのか、・・・等々。 みなさまの厳しい御批判を、宜しくお願い致します。
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