CFM「空中分解」 #0658の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
会社帰りのことだった。中年の男が公園のベンチでグッタリしているのを見た。いつ もだったら風景と認識しただろうが、はじめてうまくいった商談の帰り道だったから、 少々大きくなったつもりで声をかけた。 「だいじょうぶ、ですかぁ〜。」抑えようとしても、嬉しさが発音に現れてくる。 「はぁ、ちょっと気分が悪い程度ですから………」男は相当生気をなくしているのか、 目も開けずに答えをかえした。私は男の背広を丸めて枕にし、靴を脱がせてベンチに横 にさせた。そしてハンカチをぬらすとおでこの上においた。 「この近くなんですか。」 「………いえ、狭山ってしってますか?」 「ああ、埼玉の!私は所沢なんですよお。」 「………そうですか………」 夕陽がビル群をまっかに染めている。公園の中央にある管が詰まって出ることのない 噴水の池に、紫色に光った空が映える。雲が波紋で歪みながら流れていくのを私は知ら ぬ男と話ながら見ていた。 男とは沿線がいっしょのため、いっしょに帰ることになった。途中、いざかやなどに よりながら話をしていると、段々と親近感も沸いてきた。男は某という結構有名な会社 の広報部だそうだ。そういえば、うちとも何度か提携を結んだことのある……… 電車に乗ると、椅子の下のモーターのモァ〜とした空気が気持悪く感じた。急に汗が ではじめて、寒気が出てきた。かぜっぴきと一緒にいたからかなぁ〜と男を見やるとに こにこした顔である。なるほど、あちらさんの風がこちらに乗り移ったのかと馬鹿な事 を思っているうちにはきけまでもよおしてきた。 「どうです、次の駅までもちますか?」 「ええ、なんとか」 「そこで、降りるとしましょう。水でものめば直るかもしれません。」 私は男の身体を借りてホームに降りたった。と、すぐに………オヴェ! 洗面所に行き、顔を洗う。鏡をふとみるとなんとまぁ、やつれた顔だ。昼間のいきい きとした顔はどうしたんだ、まったくこれではあべこめではないか……… 男の顔は………。なんとなしに若返ったような………いやそんなことはあるま……… 白髪が少なくなっているようだ………肌も輝いているようで………公園の苦しんでいた 男とは別人のようだ………どうなって………??? 「だいじょうぶ、ですかぁ〜」抑えようとしても、嬉しさが発音に出てくる……… −−−FIN−−− .
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「CFM「空中分解」」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE