CFM「空中分解」 #0650の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
テレビからゴンゴンと鐘の音が響いてきた。いよいよ、87年もあと数分です、とア ナウンサーが静かに言ったのをこたつに寝ながら聞き流していた。あぁ〜こうして今回 も自動的にあたらしい年になっていくのだなぁ〜。変わったところでこの汚い部屋が、 奇麗一身されるわけはない。私の状況も変わるわけではない。変わるとしたら悪化する のみだろう。はたして明けましておめでとうなのか?いやいや、一応おめでとうだろう 。こうしてなんとか生きながらえているのだから。 朝になってポストにいったが、他のアパートの住民にはきていたのだが私には年賀状 は来ていなかった。こちらが出していないのだから、それを望もうというのが可笑しい だろう。だいたいこのポストは電話料金表ぐらいしか入ることはない。だから、カタリ という葉書・封筒の落ちる音は私の管轄下になってから鳴ったことはないのだ。こいつ もポストとしていささか、ふがいなさを感じているのだろうよ。 部屋に戻り、飯を作るのがかったるいのでそのまま寝た。こうして静かにしていると とおりのカランコロンという履物の音や、挨拶などが聞こえてくる。こうして私という 人間もいやおうなしに正月を感じるのであった。 TVは普段みていないので何がなんだか分からない。TV番を見るとたいしたものは やっていない。ガチャリと消すと、今度はレコーダーを引っ張ってカセットをかけよう とした。もともとそれにはカセットが入っていた。『みんな愛のせいね』という種とも こという人のLPのカセットだ。私は再生ボタンを押した。が、始まらない。みてみる と引っ張った拍子にコンセントが抜けたようだ。私はじゃぁ仕方がないと諦めた。この 布団から出て繋ぐということは頭の片鱗にもなかったのである。 そのうち昼ごろになると腹が減ったので、近くにあったチキンラーメンを取りよせた 。これは日本初のインスタントラーメンなのだ。とはいっても、私はこのままばりばり と食べてしまうので関係はない。しかしさすがの私も半分が限度。くちが辛くてくえな いので諦める。腹も治まったことだし………ということで食事は終り。 午後になると大家さんがきた。前の私だったら狼狽して部屋を片付けただろうに、そ のときは顔を布団からだして、「明けましておめでとうございます。」 大家さんは私が寝ているのをみて、風邪かい?ときいたのでまぁそんなところです、と 答えた。実際のところ、普通の人に比べたら病気なのだろうが。 夕方、文芸部から電話がかかってきた。なんとワープロ打ちは終わったか、という。 馬鹿野郎、88はNECにだしちまってらぃ!!と初めて怒鳴った。俺の愛機もディス クがいかれて、病気なのだ。HALと名付けたのがいけなかったか。 夜。しつこくもキューキュー鳴る腹に絶えかねて、ぞうにを食う。もちはひとつで一 杯分あるから、明日の昼までは大丈夫だ。我々のようなものは餅とカンパンは必須アイ テムなのだ。 飯を食ってから電話がかかってきた。なんとなつかしや、高校のころの友達の山上さ んである。どうやら海外でうまくいっているらしい。私はこういって離れた古い友人の 電話をきった。 「極めて変化のある生活をおくっているよ。」と。 −−−FIN−−− .
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