CFM「空中分解」 #0521の修正
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革命援助会社と書いた封筒がポストにあったのを見付けたのは昨日のことだった。し かし、昨日は接待でベロベロになっていたので、見る気も起こらなかった。一晩明けて ようやく、封を開けた。中にはテレホンカードみたいななんかの会員証らしきものと、 活字で書かれた上質の手紙が入っていた。 「拝啓 橋本様 このほど、革命援助会社の新しい援助対象者を選考した結果、貴方が 幸運にも選ばれましたので、まずはお伝えしたいと思います。私共、 革命援助会社は文字通り、革命を援助する組織で、この株主といって さしつかうないと思いますが、そういった支援者は各国首脳から財界 まで及んでいます。貴方が、この硬直・沈滞化してゆく世界に新しい 旋風を巻き起こし、歴史に名を遺すことを期待しております。 革命援助会社 」 なんだぁ、こりゃ。いたずらにしては手が込んでいるし、実際的なものでもない。も しかしたら、これが契約書かなんかで、うっかりやると財産をふんどられるというよう な新手の商法かもしれなかった。 大体、この日本で(建国以来、革命が起こったことのない国でだ)革命なんかできっ こないではないか。支援するったってどうやってするのか?接触は?あー、馬鹿らしい 。酒の残りとともに頭を痛ませるだけだ。・・・でもなぁ、本当かも・・・ 私は結局手紙の裏に「1億円用意しろ!」と書いて、ポストの上に置くことにした。 これで本当かどうかわかるだろう。 「本当・・・か?」私は金でいっぱいになったポストを見て絶句せねばならなかった 。ポストにはいりきらない金は門の横に置いてあり、本当に1億ありそうだった。もっ ともそれが9千万であっても、そう意味に違いはなかったが。 なるほど、本当に実在するんだな。これは面白そうだ。私は、紙に今度は「原子力潜 水艦を東京湾に一席よこせ」と書いた。そして、会社に向かった。 昼休みに食堂で、定食を食いながらTVを見ていると急に画面が変わり、見慣れたニ ュースキャスターが現れた。 「今日午前11時32分、国籍不明の潜水艦が1隻、東京湾に向かって北上してくる のを会場保安庁の巡視船によって発見しました。潜水艦はすぐさま潜行し、姿をくらま したそうです。現在、各国大使館に確認をいそいで・・・」 ただ単に革命といっても軍事行動だけでは成り立たないんだな。これは本格的なん だ。・・・ひょっとしたら世界の情勢というのはこういった組織が後ろにあるからかも しれないな。そう考えると・・・ 「おい、橋本君、手のほうがお留守のようだね。しっかりやりなさい。まったくもっ て・・・」考え事をしていると、課長のねちっとした注意がきた。 くそ。こんな経理計算などたいしたことではないじゃないか。別段、この会社が倒産し たところで(仮にだが)だれがこまるっていうわけでもないくせに。俺の力をなめやが って。今までよくも″アンタッチャブル″(仕事に触れない奴ら)とよびやがったな・ ・・・・・ようし、見ていろ! 私はすぐさま、自分の家に向かった。 帰ると、紙に″課長を消せ!″となぐり書きにしてすぐさまドアにはっつけた。これ でやつも・・・ と、その時TELがなった。 「はい、もしもし橋本ですが・・・」 「こちら革命援助会社ですが、先程のご注文は可能ですが、″貴方″の目指す革命にそ れは必要なことなのでしょうか?どのようなことでも援助可能でございますが、人の命 にかかわることですから・・・」 私はすぐさま、あの手紙を見直した。 ″・・・貴方が、この硬直・沈滞化してゆく世界に新しい旋風を巻き起こし・・・″ そうか。そうなのだ。革命とは、自分の目指すことなのだ。それが、人によっては政治 であるかもしれないし、本を出すことかもしれない、はたまた音楽をやることかもしれ ない。とにかく、人にうちふるえるものを与え、心・感性を刺激することなのだ。 「革命援助会社さん、」 「はい?」 「先程のことは中止してください。あ、それと僕の″革命″は多少時間がかかると思い ますので、それまでスタンバイしててください。」 「はい分かりました。貴方が、成功なさることを期待しております。」 −−− F I N −−−
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