CFM「空中分解」 #0515の修正
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<アップル・コンプレックス> 第1話「多すぎた遺産」 パート}「皮かぶりのガキが、舐めた真似をおしでないよ!」その3 そして、ノリスの行方を捜し始めて呆れてしまった。まったく、近頃のガキは・・・ 。とにかく、一晩で何人と付き合っているのか。足取りを追っても追っても、追いつか ない。そして、突き止めた場所がスロータ・ヒル。 スロータ・ヒルはアベックが誰にも邪魔されずに安心して夜の仕事に専念できる数少 ない場所だ。治安の悪さではピカ一の五十六番街の中にあるモーテルだが、別名「要塞 ベット」と呼ばれている。装甲シャッターにカービンや自動小銃を持ったガードマンが 警備している。モーテル内は、隈無く監視カメラが置かれている。ベットやバスの中に までカメラがあるということだが、そんな衆人環視の中でいたすってのは、一体どうい 神経だ。 カーマインの電磁ディスクブレーキが車体を止めた。五点式のシートベルトは、助手 席から飛び出してフロントガラスを突き破る寸前で僕の身体を引き戻した。 「七分二十三秒か、まあまあだね」 ノバァはダッシュボードの時計を見て呟いた。それを聞いて僕は寒気がした。さっき の「ラ・プペ」からここまでは、専用走行車線を突っ走るCVS(コンピュータ制御車 両)でさえ、十五分は優に掛かるのだ。 昔のヨーロッパの城のように尖塔がいくつもある。真っ白な城であり、所々派手な、 原色のグリーンや赤の模様が、その外観を台無しにしている。大きな堀が城の周りを囲 んでおり、入り口とおぼしき所から跳ね橋が掛かっている。 ノバァはカーマインをドライブスルーのような受付ゲートまで進めた。ゲートの扉は 厚そうな特殊鋼製で、マシンガン程度の弾丸は通さないだろう。ひょっとしたらハンド ミサイルでも、びくともしないかもしれない。受付は無人でカメラが睨み、ディスプレ イには女性が映っていた。その女性がにこりと微笑むと口を開いた。 「いらっしゃいませ。御休憩でしょうか? それともお泊まりでしょうか?」 ノバァの前のダッシュボードのインターカムから、女性が呼び掛けて来た。 「どちらでもないわ。経営者に話がしたいの」 「いらっしゃいませ。御休憩でしょうか? それともお泊まりでしょうか?」 ノバァはパワーウインドウを開けた。 「聞こえないの? ここのボスに逢いたいの。連絡してくれない」 「いらっしゃいませ。御休憩でしょうか? それともお泊まりでしょうか?」 ノバァはいつの間に取り出したのか、小型のバレンタイン・レーザーガンを握った左 手を窓から出すと、受付のカメラに向けた。まずい! このままだとノバァが爆発する ! 「ボスを出しなって云ってるのが分からないのかい? 今度同じことを云うとぶっとば すよ!」 「いらっしゃいませ。御休憩でしょうか? それとも・・・」 「ノバァ! だめだ!」 ノバァの指がトリガーボタンを押す寸前に僕は彼女に抱き付いた。 ゲートのプラスチック製の屋根に大きな穴が開いた。 ノバァは大きな溜め息をつくと、腰に抱き付いている僕を、右手で抱き寄せた。僕の 顔は彼女のでかい胸の谷間に埋もれた。猫撫で声でノバァが囁く。 「カズ、あんたが、あたしを好いてるってことは、分かってるけど。何もこんな大事な 時に邪魔しなくったっていいだろ。おとなしく、しといで」 ノバァの胸の谷間は結構居心地がいい。僕が抱き付いている腰の括れは細く、筋肉で 引き締まった腹へと続いており、僕は胸の柔らかな感触と腰の滑らかな感触を楽しんで いた。そうしていると、僕はかってエレナと一緒だった時を思い出せるのだ。ノバァが 再び、バレンタインの狙いを付ける仕種が胸の膨らみを通して伝わって来た。 いけね! こんなこと、してる場合じゃない! 僕は暴れた。しかし、彼女の胸から 中々逃れられない。 「ノバァ・・、そんな・・・的なやり方・・・めだ。ワーッ・・・だから・・で」 「何をごちゃごちゃ云ってるんだい」 ノバァは、僕が暴れるのでバレンタインを撃てず、とうとう僕を押さえていた手を放 した。僕は息咳切ってノバァを説得しようとした。 「ギャングの殴り込みみたいなことをやったって、経営者に逢えないよ。『装甲ベット 』のペットネームのモーテルにそんなレーザー一丁で押し入れる訳ないよ。第一この受 付は、モーテルの接客用ロボットシステムだもの。モーテルの客しか相手にしないよ。 だから客として中に入ってから、ここのボスに逢いに行けば?」 「客として入る? やれやれ、しょうがないね。モーテルなんかにしけこむのは、もう 何年ぶりかしらね。分かったよ、カズ。それじゃあ、あんたとあたしは、ここにいいこ とやりに来たカップルってことだね。仲良くしようね。ウッフ〜〜ン」 ノバァは急に色っぽくなって、僕にウインクすると、御機嫌よく、受付のディスプレ イの女性の映像と話しだした。 「いらっしゃいませ。御休憩でしょうか? それともお泊まりでしょうか?」 「おてんと様が、まだ仕事してらっしゃるってのに、泊まる訳ないでしょ。そんなにや っちゃ、腰が抜けちゃうよ。ねえ〜〜、カズ」 ノバァは完全にその気になってる。 「休憩だよ。休憩!」 僕は慌てて叫んだ。 ノバァが詰まらなそうに僕を見返した。 「御休憩ですか。それでは、五千NC(ネオクレジット)になります。二時間経つ毎に 、追加として三千NC頂きます」 高い! それだけあれば、溜まっている一ヵ月分のホットドックのツケが払える。 「ノバァ、やめよーよ。高いよ」 僕は忽ち事務所の部屋代や事務所のOA機器のローンやクリーニング屋のツケを思い 出して頭が痛くなった。 「大丈夫、必要経費だよ。調査費で請求しとくよ」と、ノバァ。ならいいや。 「優待券をお持ちでしょうか」 接客ロボットシステムは、地獄耳だった。僕達の囁きを聞きつけたらしい。 「優待券?」 「ええ、いつもお帰りの時、お渡ししております。優待券を御持参の方は二割引きさせ て頂いております」 「んなもん、ないよ」 ぶっきらぼうにノバァが応える。 「お支払いは、現金でしょうか、カードマネーでしょうか? どちらになさいます?」 「カード」 「カードをお見せください」 ノバァはカードを出すと、受付のディスプレイの下の細長いスロットに差し込んだ。 殆ど待たずに、カードが返ってくると、ディスプレイに請求書コードが表示された。 「ありがとうございました。御帰りの際には、御部屋のテレコムで御連絡頂ければ、出 口にて精算をさせて頂きます。その際、再度、カードをお借り致します。お手数ですが よろしくお願いします。それでは一〇九のCになります。どうぞ良い一時をお過ごしく ださい」 ゲートが開くとノバァははしゃいでカーマインをコーサーの指示に従って進めた。 −−−−−−−−−−−−TO BE CONTINUED−−−−−−−−−−−−
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