CFM「空中分解」 #0503の修正
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=============あるヨットセイラーの1日============= 1980年7月6日(航海21日目) 晴れのち快晴。 日本時間零時30分、東の雲の合間より一瞬光がもれ、その後、点火された様に赤い光 がもれ、だんだんと光度を増す。 日の出も毎日見ていても、光景に変化があるので、新しい気持ちで見てしまう。 風の強弱が激しく、セイル交換が何回か続く。 4時頃、イルカとシャチの群れが平行して泳いでいたが、そう長くはなかった。 10時37分の位置は、北緯38度53分ー西経160度26分であった。 天測は六分儀を使ってやるのだが、計算間違いをしながらやっと出したが、自信がない 。 きのうの位置から南に下がった事になるが、コンパスの変位によるのかもしれない。 明日から南下する予定であるが、それまで艇長よりカセットテープを聞くのを禁止さ れていたができるので、明日が待ちどうしい。 それまで1週間、電池の節約のため、艇長から禁止命令が出ていたので、クルー全員 は期待でいっぱいになっている。 空と海の色が混じって、でも微妙なブルーの色彩の調和が素晴らしい。 カメラマンの中迎は、この色彩はカメラではあらわせられない、といっていたが、私 も同感した。 今晩の夕食は、池本が当番だ。 ジャガイモ、玉ネギ、牛肉缶詰、ソーセージ、かつお節のスープをトロ火で作ってい る。 キャビン には、いい匂いが満ちていて、嬉しい気持ちになってしまう。 14 時30分 ワッチは私と池本。 快晴なので、キャビンで寝ている艇長を除いて、全員がコクピットに出て、話にはず んでいた。 下地がマストを見ながら、右舷側のミドルステーのマスト取付部が、おかしいと言い はじめた。 よく見るとワイヤーが切れかかっている様だ。 直ぐ、艇長を起こし、ボースンチェアでマストに昇ってもらう。 ミドルステーのワイヤー4本とロアステーのワイヤー1本が切れていた。 それまで上げていたセイルを降ろし、再度、全リギンの点検のため、マストに昇る。 他のステーには破損は見当たらない。 エンジンをスタートさせ、ポートタックでセイルを上げて帆走する。 コンパスコースは210度前後である。 オアフ島へのコースは160度なので、セイルを降ろし、機走で針路を160度確保 する。 時間は15時30分で、丁度夕日が沈みかけ、西の空が赤く染まっていた。 この様なトラブルの原因として考えられるのは、スターボードタックで14日間連続 して帆走していた事、それと第1日目にランニングバックステーを破損して使用でき ず、ステーに余計な負担がかかっていた事等と思われる。 今後は、機走で針路を160度に確保し、貿易風を早く捉えることである。 太平洋高気圧が例年に比べると、北に位置すると推定されるので、貿易風と出会うのは 北緯35度付近と思われる。 現在の位置が北緯39度であるので、240マイルの距離を平均4ノットの速力で60 時間はかかる。 このためには現保有の軽油の3分の2、約80リットルを消費しなければならない。 貿易風を早く捉えなければならなくなった。 . KEH43456 SHUHEI
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