CFM「空中分解」 #0487の修正
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すくらんぶる交差点 小嶋 淳 7 夕方だからさ、狭い駅前通りは、学生やら買物おばさんやらで、やたらごった返して いる。 そんな光景を、20分程眺めていると、白いパーカーにチェックのスカート姿の宏 やって来た。 「気が向いたの?」 「まさか。買物の序でよ」 「……」 うぐぐ……。 だって何も持ってないじゃないか。 「何も持たずに、か?」 おれが、からかう様に言うと、 「……用がないのなら帰るわよ」 と、宏美は頬を膨らませた。 で、とりあえず、おれ達2人は、喫茶店『K/2』に入った。 「どうして来なかったんだ? 宏美らしくない」 先天的に、おれはしつこいらしい。 「たまにはサボりたくなるわよ、私だって。それより何時から他人の事言えるように なったの? 伸君は」 「……」 「今日、デートだったんだ」 「デート?」 「そ、デート」 「というと、世間一般に言う、あれか?」 宏美は、ストローをくわえたまま小首を縦に振った。p 「で、あいては?」 と、喉まで迫り上がってきた言葉を、グっと飲み込んだ。 よく柵lえたら、宏美のこと言えない……。 「伸君はどう? うまくやってる?」 おれは何気無く、 「ぜーん然」 と、肩をすぼめてみせた。 いくらおれが素直じゃなくたって、 「まあまあかな」 とは言えない。 それこそ宏美との距離が、、何万光年もワープしちゃうから、さ。 宏美は黙ったまま、窓に映るイルミネーションを眺めていた。 気まずい沈黙が、果てしなく続いていく。 「ね、帰ろ」 そう言うと宏美は、すっきりした足を90度ターンさせて腰を上げた。 ヘ 階段の手前で、宏美は足を~めておれの背中を突いた。 その人、碧が昇ってきたんだ、それも男と2人で……。 二十歳ぐらいかな。 おれが、碧に気付くのとほぼ同時に、 「あ、松本君」 碧もおれに気付いた。 相手の男は、ちょっとけげんそうな顔をして、今までおれ達が座っていたテーブルに さっさと腰を下ろした。 (こんな奴、おれの好敵手じゃないよ) って感じにさ。 「一昨日はどうも、ね」 「あ、いや。ね、誰?」 おれは、窓際で余裕しゃくしゃくって風に煙草を吸っている、さっきの男に視線を向 けた。 「ん? あ、彼よ」 碧は、あくまであっさりと答えてくれた。 頭がクラクラする。 「もう2年位になるんだけどね、此処1,2ヵ月彼の仕事が忙しくって逢えなかった の。で、今日久し振りにデートしてきたって理由」 碧は、早く彼の傍へ行きたいって様子だ。 「そ、そう。良かったじゃない」 笑って返したけど、多分顔は引きつってたに違いない。 宏美は隣でクスクス笑っているしさ。 「うん。それじゃ、宏美と仲良く。またね」 そう言い残して、碧は男の所へ小走りに掛けて行った。 「……」 な、何なんだ、いったい。 これじゃまるでおれが、『アホ』じゃないか……。 おれは、宏美に腕を引かれるまま『K/2』を後にした。 浅間神社の前まで来たとき、 「恋人にずっと逢えなくて、淋しかったのよね、きっと……」 宏美が自分に納得させるように呟いた。 「別に付き合ってた訳じゃないし……」 「無理しちゃって」 宏美はおれの腕を、キュっと抓った。 「……ごめんね」 「ん?」 「さっきのデートの話、実は嘘なの」 茶目っぽく舌を出した。 「そんなことだろうと思ってたさ。宏美とデートする物好きがいるわけないもんな」 し、しまった。 また心にもないことを……。 「でも松本君は、物好きでしょ?」 茶化す様に、宏美が言う。 「……」 「明日、朝10時、駅のホームで待ってて、ね」 神社の並木が、風に揺れた。 −Screen7 end…To be continu
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